『日本語の活かし方』 特設ページ
ホームページTOP
   

塾生徒・保護者の声/セミナー参加者の声/
著書に寄せられた感想――を一挙公開!

18「真似できる技術」が、あなたの言語技能を向上させる!!
「ふくしま式」最新の論考を惜しみなく公開!
「ふくしま式」のヘビーユーザーでも、新しい発見と納得の連続。
20~30代の若者向け、という前提で執筆依頼を受けましたが、結局はいつものように、子どもから老人まで誰にでも有益な1冊となりました。それが言語というものです。
「宮崎美子のすずらん本屋堂」(BS11)で紹介されました(2015/7/3)。
 第1章をこちらですべて読めます
 
新書版 画像拡大
2015年6月25日発売
全240ページ
907円(税込)

星海社新書

はじめに

 この本を手にしているあなたは、今、日本語を読んでいます。
 この文を、このページを、読むことができています。
 あなたは、200ページを超える本を読みとおすだけの日本語力を備えています。
 それは、価値あることです。
 でも、このような本を手にするということは、実は何か悩みを抱いているのかもしれません。
 話していて、言いたいことがうまくまとまらない。「どういうこと?」と聞き返される。「話が長い」と言われる。
 相手の話を聞いていても、よく整理できていない気がする。分かったふりをしている。
 文章を読むのに時間がかかりすぎる。何度も同じところを読み直してしまう。
 まして、書くのにはもっと時間がかかる。一向に、手が動かない。
 そういったネガティブな感触が、多かれ少なかれ、日々のどこかで生まれているのではないでしょうか。
 高校生、いや、大学生までは、そのままでもよかった。
 しかし、何らかの役職を担い、時間的制約の中で一定の「成果」を求められる立場にいる今、何とかしてその感触を、ポジティブなものへと変えていきたい……そう思い始めている。
 そして、できるなら、言葉を自由に使いこなし、人生を豊かなものにしていきたい――。
 この本は、そんなあなたのために書かれた一冊です。

 今や、誰もが書き手・読み手になることのできる時代となりました。インターネット、とりわけソーシャルメディアの普及が、そのことをはっきりと表しています。
 書き手・読み手になることが「できる」というよりも、むしろそれを「強要される」時代、と言ったほうがよいかもしれません。ネット上でメッセージを受信・発信することができなければ、どんな職種であっても生き残れないのではないかと思えるような時代です。
 ネット上で受発信されるのは、書かれた文章だけではありません。そこには、音声によるメッセージのやりとりがあります。対話・会話を含む映像をネット上で見聞きする機会は、とても多くなっています。
 このように、私たちは、書き手・読み手であるのみならず話し手・聞き手であることも同時に求められるという、なかなかシビアな状況に置かれています。
 シビアな点は、ほかにもあります。
 それは、不特定多数を相手にしなければならないという点です。
 物理的に近くにいる特定少数の人々とだけつながればよかったアナログな時代とは異なり、遠く離れたところにいる多数の他人ともつながっていくことが当たり前になっているのです。
 まだあります。
 それは、言語メッセージの質の幅が広がったということです。
 受発信される情報が増えれば増えるほど、それは質的に玉石混淆となります。
 ツイッター・フェイスブックなどのリアルタイムメディアでは文章を即時的に読み書きすることが求められるため、そこでは「玉」より「石」が目立ちます。つまり、知ったかぶり・分かったつもりの文章が、あちこちに存在するのです。
 しかし、多数の他者の中では、知ったかぶり・分かったつもりが、すぐ見抜かれてしまいます。チェックされる機会が増える分、ニセものは、気づかれやすくなっているわけです。書き手・話し手としては、これはシビアです。
 一方、読み手・聞き手としては、逆にそういうニセものに騙されないように注意しなければなりませんから、その意味でも、やはりシビアです。
 さて、このように厳しい状況を生き抜いていくためには、武器が必要です。
 最も強力な武器。
 それは、「言語技術」です。「日本語力」と言いかえてもよいでしょう。

 ところで、私は、横浜市で国語塾を開いています。
 前職は小学校教師ですが、いつの間にかその年数を上回り、国語専門で教えてきた期間だけでまもなく10年になります。
 対象は、小・中・高校生。週に100人近くの生徒を、日々指導しています。
 私の塾は、国語を教える塾というよりも、思考の技術を教える塾です。
 日本語による思考の技術です。
 単なる「国語科」の枠を超えているため、中学受験が終わっても通い続ける生徒が、けっこういます。大学生になっても通い続けたいと話してくれた高校生もいます。
 実は、ここが肝心なところです。
 生活の幅が広がれば広がるほど、言葉の力を高めることの価値を自ら実感し始める。
 あるいは、子どもから大人へと成長するにつれて、他人の言語技術と自身の言語技術との差に気づき始める。
 言語技術とはどのようなものかが分かれば分かるほど、その実感は高まる。
 そういうことなのでしょう。
 その証拠に、最も切実なメッセージは、大人からこそ届きます。
 ある親御さんは言いました。
「子どものノートを見ているうちに、私自身が、先生の塾の生徒になって学びたくなりました」
「大人向けの講座をやってもらえませんか」
「私自身が、今、先生の本で学び直すことに夢中になっています」
 同様に、こういう声もよく届きます。
「小学生版と書かれた問題集でしたが、30代の私にもすごく手ごたえがありました。大人版をぜひ出してください」
「講師バイトで国語を教えていますが、教材はもうこれを使うしかない、と思いました。ちょっと前まで自分が習っていたこと、教えていたことが何だったのかと思うくらいです」
 本の読者からの感想です。
 そんな声をいただくようになってから、大人向けの本を書いたり、大人向けのセミナーを開いたりするようになりました。
 さらには、人材育成に関わる大手企業から研修講師として呼んでいただいたり、理系の大学生向けに講演をしてくれと依頼されたりといったことも増えてきました。
 そういった中で、私は確信を持ちました。
 大人こそが、言語技術の不足を自覚し、その習得を願っている。
 とりわけ若者――広い社会に出て、他者と円滑にコミュニケーションをとるための能力の必要性を痛感し始めた方々は、そういう面でかなりの不安を抱いている。
 そして、そんな方々にとって必要なのは、学校の国語教科書に掲載された名作の数々ではなく、塾の読解テキストに羅列された入試過去問でもなく、複雑で難解な論理学を紹介した本でもない。
 私が生徒に日々教えているような、シンプルで奥深い言語技術。
 日本語を的確に使いこなし、それによって思考を整理するための明快な方法。
 それこそが、求められている。
 そのような確信の中で、この本も生まれました。

 言語技術とは、すなわち、発信の技術と受信の技術です。
 発信とは、話すこと、書くこと。アウトプットです。
 受信とは、読むこと、聞くこと。インプットです。
 ここぞというときに力強いスピーチをできる人に出会うと、心ひそかに憧れてしまう。自分自身も、何とかしてもう一歩上に進みたい。
 手元に届いたメールが整理されていて分かりやすいと、感心するとともに、悔しくもなる。こういうメールを書けるようになりたい。でも、必要なのはメール術というより、書く力そのものだと思う。何とかして、それを学びたい。
 もっとスピーディーに、かつ正確に、書類を、記事を、本を読むことができたら、きっと人生が豊かになる。読む力を、高めていきたい。
 もっと相手の話をうまく聞き取れる人間になりたい。そして、コミュニケーション力を高めたい。「なるほど」というひとことでごまかすのは、そろそろ終わりにしたい。
 あなたのそんな前向きな気持ちをあと押ししてくれるもの。
 そして、実際にあなたを明るい未来へと導いてくれる、確かな根拠。
 それが、言語技術なのです。

 ところで、ここまでに何度か登場した「日本語」という言葉。「国語」との違いは、どこにあるのでしょうか。
 あるいは、「技術」という言葉。技術とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
 まずはそのあたりから、整理していくことにしましょう。

目 次

 はじめに
目次

第1章――「技術」とはどのようなものか
「国語」と「日本語」
「技術」の反対語は?
「センス」にサヨナラ
「型」が個性を引き出す

第1章をこちらですべて読めます

第2章――日本語を活かすための言語技術
「理解」の本質
言いかえる・くらべる・たどる
論理的思考を支える三つの「公式」
なぜ「三つ」なのか?

第3章――「書く」ための言語技術
天声人語の書き写しは役立つのか?
文章設計の黄金パターン
視覚的比喩で言いかえる
「五感」への意識が比喩力を高める
比喩の落とし穴
具体例を挙げるにもコツがある
「サンドイッチ型」の文章を心がける
文中・文末接続語とは?
「違いが分かる男」
「震度」と「ルクス」の共通点は?
書くことは「自分」を創ること

第4章――「読む」ための言語技術
「見た」のか「読んだ」のか
「読み」とは「再構築」である
「対比の骨組み」を見つける技術
「恥ずかしい」の反対語は?
他人の文章が分かりにくい理由
「なぜ?」に答えるとき、つい見逃してしまう要素
ツッコミの技術を磨く

第5章――「話す・聞く」ための言語技術
音声言語ならではの特徴
イチローのように話すには
「て」に頼るなかれ
話の途中で割り込まれないようにする技術
あなただけの反対語を生み出す
たとえばこんなスピーチ
永久に続くリアルタイム・コミュニケーション