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        》》》 小学校教育が危ない! 《《《

           No.28  2006/10/11

              著者:福嶋隆史

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        No.28 「イベント」が多すぎる!(その2)

~ 運動会の準備には、いったいどれだけの授業時間をかけているのか? ~

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★ 目 次 ★

(1)まえがき
(2)運動会の準備には、いったいどれだけの授業時間をかけているのか?
(3)結論!! 全部で34時間!!!
(4)あとがき ~忘れてはならないこと~

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(1)まえがき

 タイトルに悩んだ。

 「運動会無用論」「運動会廃止論」「運動会の功罪」「運動会によって何が
得られ、何が奪われるのか」「運動会を根本から見直せ!」「運動会なんてい
らない?!」……

 しばし頭をめぐらせたが、どれを書くにも莫大な時間がかかりそうだ。
 そして、きっと文章が長くなるに違いない。

 結局、一番言いたいことのみに的を絞ることにした。

 それは、
「運動会の準備には、いったいどれだけの授業時間をかけているのか?」
ということである。

 そこで今回も、極めて具体的に、項目をリストアップしたい。

 以下に示す数字は、学校規模や児童数等によってかなり差が出るとは思う。
 しかし、基本的に、運動会準備に時間をかけすぎているという実状は日本中
どこでも同じであろう。

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(2)運動会の準備には、いったいどれだけの授業時間をかけているのか?

 以下、準備活動を列挙する。じっくりご覧いただきたい。
(下記「1時間」とは、学校における1単位時間=45分間のことである)

【A】~~~~~◆学校単位で行われる準備活動(計5時間)◆~~~~~

★これらの多くは、運動会直前の1週間で集中的に行われる。
 土曜日に運動会ならば、その週の月曜から金曜には、毎日1~2時間ほど、
これらの活動が割り込む形となる。
(この5日間には無論、【B】【C】【D】に示す準備活動も日に1~2時間
 程入るので、直前の1週間はもはや「国語・算数」どころではない。すべて
 が運動会一色となってしまう)

・全児童の整列及び隊形移動の練習………………………0.5時間×2回
 (たてわり班別、学年別など数種類)
・全児童による準備体操、整理体操練習…………………0.5時間
・全児童による応援練習……………………………………0.5時間×2回
・全児童による全校競技練習………………………………1時間
・全児童による全校ダンス練習……………………………1時間
・全児童による運動会の歌や校歌の練習…………………0.5時間


【B】~~~◆実行委員会・他、役割分担ごとに行われる準備活動◆~~~~
           (応援団以外は、だいたい計6時間)

★主な実行委員会(役割分担)を挙げる。これ以外にも、様々な役割があるは
 ずである。
★これらの活動は、主に総合学習において行われることが多い。しかし、本当
 にこれが総合学習で扱うべき内容なのか。
★これらは、体育館・その他に場所を移し、各役割ごと(複数学年合同)で活
 動を行うことになる。(低学年は、参加しないものが多い)

《 応援団 》――――――――――――――――――合計14時間
☆応援団には、だいたい4~6年生の各クラスから、希望者が数名ずつ選出さ
 れる。全部で数十名の大所帯となる。
☆毎朝7時半に登校し、「朝練」を10回近くやる学校もある。
 応援団は、内容が多すぎるため、朝練をやらないと終わらない。

・全体指導……………………………………………………0.5時間×3回

(以下は、“子どもの自主性”に任せようとするからこそ、やたらと時間がか
 かってしまうのだ。教師が適切な指導を行えば、時間は半分に短縮できる)

・赤組、青組、白組などの色ごとに――
  >団長、副団長、応援歌担当、振付担当等の役割決め……1時間
  >スローガン決定………………………………………1.5時間
  >振り付け、応援ダンス練習…………………………0.5時間×4回
  >応援コール練習………………………………………0.5時間×4回
  >応援歌練習……………………………………………0.5時間×4回
  >応援合戦全体練習……………………………………3時間
  >その他、応援グッズの原案作成、
   応援旗のイラスト作成など…………………………1時間

《 放 送 》――――――――――――――――――合計6時間
☆運動会当日、子どもがマイクで司会や実況をする「あれ」である。
☆そして、すべての競技・演技の音響効果も兼ねている。

・実行委員の役割分担………………………………………1時間
・司会や実況の原稿整理、及び練習………………………0.5時間×6回
・音楽テープ等の準備、操作練習…………………………2時間

《 準備体操 》―――――――――――――――――合計6時間
☆準備体操なんて、教師が前に立ってやればいいのだ。
 いや、むしろそうでなくてはダメだ。
 それなのに、子どもにやらせようとする。
 だから、こんな余計な役割が生じてしまう。

・実行委員の役割分担………………………………………1時間
・準備体操の音楽準備………………………………………1時間
・準備体操の振り付け(?!)考案………………………2時間
・準備体操のお手本を見せるための練習…………………0.5時間×4回

《 広報 》―――――――――――――――――――合計6時間
☆4つ目の「大きなプログラム」なんて、はっきりいって誰も見ていない。
 みんな、手元のプログラムを見ているのである。
 紙、マジックのインク、テープ、そして時間と労力の無駄。

・実行委員の役割分担………………………………………1時間
・地域に貼り巡らすためのポスター作成…………………2時間
・校内に貼り巡らすためのポスター作成…………………1時間
・運動会当日、校舎の窓に並べて貼り付ける、
 大きなプログラムの作成…………………………………2時間

《 用具 》―――――――――――――――――――合計6時間
☆これがまた大変。どの種目のあとにどの用具を出すか。どのタイミングで片
 付け、また出すか……ということを、手際よく行うための準備である。結局
 は、教師が仕切る結果になるのに、子どもにやらせようとする愚。

・実行委員の役割分担………………………………………1時間
・用具の数や状態の確認……………………………………3時間
・用具移動の場所やタイミングの確認など………………2時間

《 得点・審判 》――――――――――――――――合計6時間
☆「白、○○点! 赤、○○点!」
 ……華やかに見えるその裏に、大変な準備がある。

・実行委員の役割分担………………………………………1時間
・得点集計シートの見方、記録の仕方などの確認………2時間
・審判の練習、順位誘導の練習……………………………2時間
・ボードへの掲示の練習……………………………………1時間


【C】~~~~~◆学年単位で行われる準備活動(計17時間)◆~~~~~

★下記すべてにおいて、「入退場時の整列」や「入退場」の練習が含まれる。
★リレーなどは、一部の子のみであるから、これらの練習は休み時間に行われ
 ることが多い。そのためここではカウントしない。
★言わずもがな、表現ダンスこそ、あらゆる運動会準備の中で最も時間を取ら
 れるものである。
 ここでは12時間としているが、20時間近くかけている教師もいる。
 ただし、福嶋は、せいぜい7~8時間で終わらせた(演技そのものの練習
は、5時間で終わらせた年もあった)。(福嶋は、というのは、私が学年全体
を指揮して指導したときの話である)

・学年徒競走の練習…………………………………………1.5時間
・学年ごとの種目(ハードル、他)の練習………………1.5時間
・学年演技(表現ダンス)の練習…………………………12時間
・複数学年での合同競技練習………………………………2時間

・1~3年生と4~6年生別々に
 行われるリレーの練習……………………………………(0.5時間×4回)


【D】~~~~~◆学級単位で行われる準備活動(計6時間)◆~~~~~

★当然ながら、運動会の準備というのは、以下のようなものも含むわけだ。

・学級での応援歌の練習(朝の会や学活で)……………0.5×4回
・応援グッズの作成…………………………………………1時間
・プログラムの中身の確認、自分の出番のチェック……1時間
・当日の座る位置、持ち物、その他諸注意………………2時間


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(3)結論!! 全部で34時間!!!

 すべてを合計して、34時間。
 低学年の場合は減るはずだが、それでも20時間以上はかけているはずだ。

 多すぎる。

 これを、だいたい4週間で行うわけだから……

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  ■ 最初の1週間……4時間   ■
  ■  次の1週間……7時間   ■
  ■  次の1週間……10時間  ■
  ■ 直前の1週間……13時間  ■
  ■  運動会当日……6時間   ■
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 こんな感じだろう。
 運動会当日を入れれば、40時間に到達する。
 1週間の授業時間は、学年により違うが、平均しておよそ25時間。
 運動会準備が、いかにその多くを占めているか、お分かりになっただろう。
 運動会までの1ヶ月、子どもたちは、全授業のうちのおよそ4割を、運動会
のために割くのである。
 そこまでして、いったい何が得られるのだろうか。

 まあもちろん、現場教師の方々にとって、これらの数字には異論もあろう。
 しかし、そこは「木を見ず森を見て」いただきたい。
 全体像をつかんでいただければ、それでいい。

**********

 授業時間以外にも、居残りによって準備させている学校(あるいは教師)も
あろう。しかし最近では、安全への配慮を優先し、放課後の居残り準備等を禁
止している学校が主流だ。
(居残りをさせずに定刻に一斉下校させることは、下校時の不審者対応策とし
 て重要なことである)
 
 そのため、多くの学校では、ほとんどの準備活動を授業時間内に行うように
なってきている。
 本来、そうあるべきなのだ。
 しかしだからこそ、授業時間が次々と奪われていく結果となる。
 それでも終わりきらなかった準備は、子どもたちにとって貴重な「休み時
間」を削るしかなくなる。

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(4)あとがき ~忘れてはならないこと~

 私が言いたいのは、単にひとつだけだ。
 運動会のためにこれほどの時間をかける前に、やるべきことがあるだろう!
 それは、国語と算数だ。
 学校の本来の役割を忘れて、運動会なんぞにうつつをぬかしているのは、許
されないことだ。

 基礎学力低下の原因は、こういうところにあるのである。

 ただし、それは、「子どもの授業時間が減るから」という一元的なものでは
ない。
 運動会のために子どもが34時間準備するなら、教師はざっとその2~3倍
の時間を運動会関連の準備に費やしている。
 となれば、国語や算数の授業準備にかけられる時間も当然削減されてしま
う。
 それによって、授業の質が落ちる。

**********

 かくしてイベントというものは、子どもと教師の時間を奪い去り、学力低下
を保証してくれるわけである。


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