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         》》》 小学校教育が危ない! 《《《

     No.61  2007/5/23  著者:福嶋隆史

      著者HP http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/

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       No.61 「教師の品格」をチェックする!

           〜厳選10項目〜 (その2)

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【 目 次 】
◆本文
【6】子どもを責める前に、教師である自分に非がないか、自省できる。
【7】全校児童を前にして、堂々と語ることができる。
【8】迷ったとき「子どもにとって最善かどうか」だけを指標に判断できる。
【9】黙っている子の「内なる声」に、耳を傾けることができる。
【10】子どもの前で、喜怒哀楽を惜しみなく表現できる。
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◆本文

 教師の品格とは、なんだろうか。
 私は、10項目を挙げるにあたり、まず、50項目近くの候補を立てた。
 その中でも「これだけは」と絞り込んだ10項目を、これからご紹介する。
 (今回は、6〜10のみ)

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 ■教師の品格 厳選 その6■

 子どもを責める前に、教師である自分に非がないか、自省できる。

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「学校という場で起こったことの9割は、教師の責任である」
 これが、基本である。
 子どものせい、親のせい、家庭環境のせい、地域社会のせいにする前に、ま
ずわが身を振り返ること。

 しかし、ある教師は私にこう言った。
「そんなに何でもかんでも、自分のせいだと思わないほうがいいよ。
 教師に出来ることなんて、限られてるんだからさ」

 これは、失敗を悔やんでいた私を慰めてくれた言葉だった。
 それはそれで嬉しかったが、ちょっと複雑な心境だった。
「子どものせいなんだから、気にするな」――とも受け取れるその言葉。
 素直には受け止められなかった。

* * * * * * * * * * * *

 私は、「医療」と「教育」には通じるものがあると常々考えている。
 双方とも、他人の人生を大きく変える力を持つ。
 きわめて重大な責務を担っているという点で、共通している。

 しかし、違いもある。
 医療は、マイナス(病気等)をゼロ(健康)に戻す仕事だ。
 一方、教育は、ゼロをプラスに向上させる仕事である。
 つまり、教育という仕事には上限がない。

 上限がないから、どこまでも反省の余地が残る。
「もっと子どもを向上させられたはずなのに、自分の力が及ばなかった」と。

 それは、教育に携わる者の宿命でもある。
 その“宿命”を素直に受け入れる教師は、品格ある教師だと言える。

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 ■教師の品格 厳選 その7■

 全校児童を前にして、堂々と語ることができる。

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 全校児童の前で話すのが下手な教師が多い。

 まず、話が長い。
 そして、要領を得ていない。
 あるいは、声が小さすぎる、大きすぎる。
 思いついたことを、つらつらと、適当にしゃべる。

 子どもの心に染み入る話が、できない。

 教師たちは、全校児童の前で話すのが、嫌いなのだろうか。
 それとも、苦手なのか。あるいは、怖いのか。堂々としていられないのか。
 ……そうとしか思えない「いい加減な語り」を、数限りなく見てきた。

 全校児童の前で話す機会なんて、校長ででもない限りあまりめぐってこない
のに… と、私は思う。
 私は、そういうチャンスを逃さない。
 子どもの、教師に対する「信頼」や「敬意」を高めるための、絶好のチャン
スなのだから。

* * * * * * * * * * * * * *

 全校朝会が終わる前、週番(生活指導の当番)の教師が少しだけ朝礼台に上
がる。短い時間で、「今月の生活目標」などを子どもたちに伝えることになっ
ている。
 当番だから、今日は自分が話す番だということは、事前にわかっている。
 それなのに、多くの教師は、事前に話を準備していない。
 思いつきで、役にも立たぬ話をする。

「身の回りをきちんと片付けよう、が目標です。さあ、みなさん、きちんとし
ていますか? きちんとしていると思う人、手を挙げて? あれ? こんなに
少ないのかな? じゃあ、あとで、お友だちと、確かめ合ってみましょう」
……などと。
(しかも手なんて挙げさせるから、全校児童が騒がしくなり、グチャグチャに
なる)

 私は、同じ「きちんと片付けよう」という目標について、全校児童に対して
次のように話した。(初任者のときだ)
「今月の目標を言います。“身の回りをきちんと片付けよう”。
 ロッカーの中。机の中。片付ける場所はたくさんありますね。
 でも、あとでやろうと思っていると、結局できません。
 そこで、考えてみましょう。
 皆さんの1人残らず全員がこのあとすぐに出来る“片付け”が、1つだけあ
りますよ。何だと思いますか?
 それは…… 脱いだ靴をきちんと片付ける、ということです。さあ、早速こ
のあと、やってみましょう」
       (校舎に入るとき、靴箱にきちんと靴を入れる、という意味)

 このとき、私は、急に指名されたのだ。
 当番ではなかったのだが、「今日は、あなたが話してみたら」と急に言わ
れ、2分で話を考え、壇上に上がったのを、覚えている。

* * * * * * * * * * * * * *

 全校児童の前で、いつ、どんなときでも堂々と語れる心の準備をしている教
師は、品格ある教師である。

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 ■教師の品格 厳選 その8■

 迷ったとき、「子どもにとって最善かどうか」だけを指標に判断できる。

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 公立学校の教員室は、生ぬるい。
 議論がない。
 「教員同士は、とにかく協調すべき」という思想が、あまりにも根強い。

 そして、保守的だ。
 毎年の「慣例」を重視し、それらを「打ち切る」という英断ができない。

 教師たちの判断基準は、「教師間の人間関係を守れるかどうか」であり、
「慣例に従って波風立てないでいられるかどうか」である。
 「子どもにとって最善かどうか」という判断基準は、捨てられている。

 一番いい例が、「たてわり活動」だ。
 9割以上の子どもは、「やりたくない」と思っている。
 それを、「○○先生が必ず反対するだろうから」「毎年の慣例だから」など
という理由で、取り下げようとしない。
(私は、29号にも書いたとおり、たてわり廃止を何度も訴えた)

* * * * * * * * * * * * * *

 教師同士で、議論あるいはケンカをしてでも、子どもにとっての最善を目指
すことができる教師は、品格ある教師だと言える。

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 ■教師の品格 厳選 その9■

 黙っている子の「内なる声」に、耳を傾けることができる。

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 教師は、とかく、「うるさい子」「にぎやかな子」「元気な子」ばかりに目
を向ける。
 「もの静かな子」「元気のない子」の存在を、忘れてしまう。

 しかし、にぎやかな子が心に抱いている「思い」の量と、もの静かな子が心
に抱いている「思い」の量は、まったく同じである。
 ただ単に、言葉にしているかどうか、の違いだけ。

 言葉にならない子どもの声を聞き取れるかどうか。
 黙っている子の内なる声を聞こうと、いつも心の耳を傾けているかどうか。

 「いじめ」の芽に気づける教師、気づけない教師の差は、ここにある。
 品格ある教師は、子どもの内なる声を聞き、「いじめ」の芽を摘みとること
ができる。

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 ■教師の品格 厳選 その10■

 子どもの前で、喜怒哀楽を惜しみなく表現できる。

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 「品格」といっても、「気高い空気」だけが大事なのではない。

 子どもに対して、自分という「人間」の姿を包み隠さず見せることができる
のも、ひとつの「品格」である。
 それはつまり、「喜怒哀楽を惜しみなく表現する」ということだ。

 いや、「惜しみなく」だけでは、足りないかもしれない。
 少し“大げさ”な表現の方がいい。

 よく、「教師は役者であれ」と言われる。
 感情を、少し大げさなほどに表現できる教師は、子どもに好かれる。
 人間的に見えて、共感できるからだ。

 少し大げさなほどの感情表現ができることは、「教師の必須条件」だ。
 これを、最後の「品格」として、締めくくりたい。

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