━━WARNING!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメルマガは鋭利な主張で構成されています。それらを受け止める冷静さを
お持ちの方、あるいは、ご自身に役立つ部分だけを受け入れてあとは無視する
大人の理性をお持ちの方のみ、ご登録ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

         》》》 小学校教育が危ない! 《《《

     No.52  2007/2/24  著者:福嶋隆史

      著者HP http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     No.52 危ない授業の見分け方(全6回の5回目)

   チェックリスト[4]こういう「内容」の授業は危ない!(前半)

======================================================================
【 発行予定 】
チェックリスト[1]“教師の様子”で判断する「授業の危険度」
                          前 半  ←48号
                          後 半  ←49号
チェックリスト[2]“子どもの様子”で判断する「授業の危険度」←50号
チェックリスト[3]こういう「形式」の授業は危ない!     ←51号
チェックリスト[4]こういう「内容」の授業は危ない!
                          前 半  ←今 号
                          後 半  ←53号
----------------------------------------------------------------------
【 目 次 】
◇まえがき
◆項目16◆ 教科書の物語文指導で、感想を書かせることを重視していない
      か?[ 国語 ]
◆項目17◆ 原理ばかりを追求させ、習熟を軽視していないか?[ 算数 ]
----------------------------------------------------------------------
◇まえがき

 今回は、「危ない授業の見分け方」特集の5回目。

 【危ない授業】とは何か?

 それは、

 ・子どもに学力がつかない授業
 ・出来る子は飽きてしまい、出来ない子は一層出来なくなる授業
 ・子どもが「楽しくない」と感じる授業
 ・子どもがどんどん「勉強嫌い」になる授業
 ・学校に行くのがつまらなくなる授業
 ・学級崩壊の火種となる授業
 ・いじめが生まれる素地となる授業

 である。

「点数表示」はあくまでも目安であるが、教師のみなさんには、自己採点の材
料として、あるいは研究授業を見るための基準として、活用していただきた
い。また、保護者の方にも、授業参観時に授業の良し悪しを判断する材料とし
て、使っていただけるものと思う。
======================================================================
チェックリスト[4]こういう「内容」の授業は危ない!(前半)

◆項目16◆------------------------------------------------------------
教科書の物語文指導で、感想を書かせることを重視していないか?[ 国語 ]
----------------------------------------------------------------------

 国語の教科書は薄い。
 1年間使う物なのに、上下巻合わせても厚さ1センチ以下。
 なぜ、こんなに薄いのか?
 それは、教科書が「精読」のためにあるからだ。
 「多読」のためにあるのではない。
 もし教科書を多読の題材に使うなら、あっという間に終わってしまう。
 多読は、図書室で行えばよい。

 教科書は、あくまでも「精読」のためにある。
 1つの物語文につき授業時間を10時間ぐらいかけて、丁寧に詳しく分析
し、読み解くこと。これが、物語文指導である。

 それなのに、分析的な読解指導をなおざりにして、多くの教師は、次のよう
な国語の授業を行う。

1・物語を読んで感想文を書いて、発表しましょう。
2・物語を紙芝居にしてみましょう。
3・物語を音読劇にしてみましょう。

 1は、次の点で問題である。
 感想を書かせると、たいていが、似たような感想に終始するという点だ。
 戦争文学を読めば、「悲しかったです」「かわいそうです」。
 友情物語を読めば、「主人公は、成長できてよかったなあ」とか、「友だち
はやっぱり仲良くしなくちゃいけないんだなあ」とか。
 そんなことを書かせていて、どんな国語力がつくというのか?
 そういう内容は、道徳の授業で扱えばよい。

 もちろん、物語を読んで感動するのは意義あることだが、物語文指導は「感
動を深める」ためにあるのではない。「解釈を深める」ためにあるのである。

 まあ、感想文を書かせて発表させる授業も結構だが、解釈を深めたあとで、
追加として行う程度にするすべきだ。まず感想ありき、ではない。

(2などは論外だ。これはもう、「危ない授業」というより、「混乱授業」に
 なること必至である。2は、「物語の再構成による創作活動」であるから、
 精読して解釈を深めていない限り、無理なことなのだ。それなのに、多くの
 教師は、これをやらせようとする)

 なお、分析的読解指導の概要に関しては、下記を参照していただきたい。

 福嶋隆史HP【子どもに身につけさせたい言語技術の具体例】
 http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/06-mysite-what-is-gengogijutu.html

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……物語文指導の際に「感想」を重視する度合い 20%
マイナス2点……物語文指導の際に「感想」を重視する度合い 40%
マイナス3点……物語文指導の際に「感想」を重視する度合い 60%
マイナス4点……物語文指導の際に「感想」を重視する度合い 80%
マイナス5点……物語文指導の際に「感想」を重視する度合い 100%
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「初発の感想」を書かせ、単元の最後にまた「感想」を書かせるならば、そ
れは重視度80%である。私は、「初発の感想」なんて、書かせたことがな
い。そんな時間があったら、むしろ音読を何度もさせたほうがいい。(解釈の
授業に音読は欠かせない)



◆項目17◆------------------------------------------------------------
原理ばかりを追求させ、習熟を軽視していないか?[ 算数 ]
----------------------------------------------------------------------
 今までも同様の内容をかなり書いてきた。
 しかし、重要なのであえて繰り返す。

 算数の「問題解決学習」は最悪だ。

 私は、昨年の3月で小学校教師をやめ、今は家庭教師として仕事をしてい
る(近々「塾」を創るが)。家庭教師として、私立も含めた多くの小学校の子
どもたちや親たちと関わる中で、算数の「問題解決学習」がいかに方々に蔓延
しているかを、あらためて実感している。

 子どもたちがかわいそうだ。
 学力がつかない、面白くない授業ばかりを、受けさせられているのだ。

 たとえば、三角形の面積の公式「底辺×高さ÷2」を教えるのに、画用紙を
あれこれ切り取らせ、別の画用紙(台紙)に貼らせる。
 それ自体は、悪いことではない。
 ある程度までは。
 確かに、三角形を2分割して片方を移動して組み合わせ、四角形にすること
で、その公式は導かれる。
 それが、公式の原理(仕組み)である。

 しかし、あまりにもその「原理」にこだわりすぎるのが、問題解決学習の弱
点だ。
 たとえば、三角形を4分割させたり、6分割させたり、あるいは、適当な
(グチャグチャの)形に切らせてみたり、ほそ〜く何本もの三角形に切り取ら
せてみたり……
 いや、「させる」のではない。子どもが「自ら」「多様な」答えを出すの
を、「待っている」のだ。
 その多様性が多いほど、子どもの「考える力がつく」と思っているらしい。

 だが、子どもが考え出した「面積の求め方」の多くは、最終的に切り捨てら
れる(無視される)。ひどい話だ。
「あ〜、なるほどねえ。○○さんの考え方は、面白いねえ。細く切ってみたん
 だね。でも、ちょっと大変そうだね。ほかの人のは、どうかな?」
「ほ〜、いいねえ。独創的だねえ。○○くんのやり方は、三角形を8つに切っ
 てみたんだね。でも、うまく組み合わせるのが大変かもしれないね」

 口先ではいろいろほめたたえるけれど、結局は、捨ててしまうのである。

「はい、いろいろ出してくれたけど、どれが一番いいのかな?」
「どうやら、これが一番簡単だね」

 そういって絞り込まれたのは、なんのことはない、「単純に2分割して組み
合わせる方法」だ。教科書に載っている。

 そもそも、代表的な3種類の分割方法は、最初から教科書に書いてある。
 なぜそれを、最初から見せようとしないのか。
 なぜそれを、子どもに発見させようとするのか。
 教室から、数学者でも生み出したいのか。

 私なら、画用紙を与えて、「教科書どおりに3種類のやり方を試してごら
ん」と指示するだけである。(これだけだって、できない子はたくさんいる)

*****

 重要なのは、原理の追求(公式を発見すること)ではない。
 むしろ、古代の人々が発見してくれたそれらの原理を活用・応用して、様々
な種類の面積の問題を解く作業(習熟活動)にこそ、時間をかけるべきなの
だ。

 そのようにして「技能」がついて初めて、次のステップ(独創性の発揮)に
進めるのである。

 守・破・離、である。
 守は、教科書どおりに学ぶこと。
 破は、学んだ技術を応用すること。
 離は、独自の解法を編み出すこと。

 問題解決学習推進派教師は、最初から「離」を求めている。
 無理な話だ。

*****

 問題解決学習推進派教師の授業では、紙を切ったり貼ったりさせる操作活動
や、最終的に切り捨ててしまうような「オリジナルの解法」を探させる活動に
時間をかけすぎるために、「習熟」の時間がほとんど入っていない。
 要するに、練習問題を扱っていない。
 では、いつやらせるのか?

 宿題になるのである。
 最も大事な習熟の過程は、宿題になってしまうのである。

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……原理追求の時間と、習熟活動の時間の比率が、4:6程度。
マイナス2点……原理追求の時間と、習熟活動の時間の比率が、5:5程度。
マイナス3点……原理追求の時間と、習熟活動の時間の比率が、6:4程度。
マイナス4点……原理追求の時間と、習熟活動の時間の比率が、7:3程度。
マイナス5点……原理追求の時間と、習熟活動の時間の比率が、8:2程度。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
======================================================================
次号、特集最終回。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━