福嶋隆史HP TOP

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

         》》》 小学校教育が危ない! 《《《

     No.49  2007/2/14  著者:福嶋隆史

      著者HP http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     No.49 危ない授業の見分け方(全6回の2回目)

 チェックリスト[1]“教師の様子”で判断する「授業の危険度」(後半)

======================================================================
【 発行予定 】
チェックリスト[1]“教師の様子”で判断する「授業の危険度」
                          前 半  ←48号
                          後 半  ←今 号
チェックリスト[2]“子どもの様子”で判断する「授業の危険度」←50号
チェックリスト[3]こういう「形式」の授業は危ない!     ←51号
チェックリスト[4]こういう「内容」の授業は危ない!
                          前 半  ←52号
                          後 半  ←53号
----------------------------------------------------------------------
【 目 次 】
◇まえがき
◆項目3◆ 何をすればいいか分からない子や手遊びしている子の存在に気づ
      いているか?
◆項目4◆ 終わったら何をするのか、明確な作業指示が出されているか?
◆項目5◆ 子どもの「予想外発言」に、うまく対応できているか?
----------------------------------------------------------------------
◇まえがき

 今回は、「危ない授業の見分け方」特集の2回目。

 【危ない授業】とは何か?

 それは、

 ・子どもに学力がつかない授業
 ・出来る子は飽きてしまい、出来ない子は一層出来なくなる授業
 ・子どもが「楽しくない」と感じる授業
 ・子どもがどんどん「勉強嫌い」になる授業
 ・学校に行くのがつまらなくなる授業
 ・学級崩壊の火種となる授業
 ・いじめが生まれる素地となる授業

 である。

 これらを、たった1回の授業を観ただけで見抜くことができるようになるた
めの「20項目」を、6回に分けて特集。
 項目ごとに、5段階で評定できるようにしてある。
 つまり、全部チェックすればその教師の授業を100点満点で採点できる。
(減点法で採点する)
======================================================================
チェックリスト[1]教師の様子で判断する「授業の危険度」(後半)

◆項目3◆------------------------------------------------------------
何をすればいいか分からない子や手遊びしている子の存在に気づいているか?
----------------------------------------------------------------------

 教師は常に、1人残らず全員の子の様子を把握していなければならない。少
なくとも、一斉授業の場では。

 何をすればいいか分からず「ぼーっ」としている子や、集中できず手元で何
かをイジッっている子というのは、どのクラスにも必ず2〜3人はいるもので
ある。
 教師が、そういう子の存在を授業中に把握しているかどうかが、重要だ。

 私が参観したとある算数の研究授業では、目の前に座っているAさんが
ずーっと輪ゴムで遊んでいた。私は、「いつやめるのかな」というよりも「い
つ教師(=授業者=担任)が気づくかな」と思いながら見守っていた。
 しかし、なかなか気づく気配はない。
 なんと20分もの間、教師はその子が輪ゴムで遊んでいることに気づかな
かった。20分後になって、初めてその子に声をかけた。ひどい話だ。

 ただし、子どもの様子によっては「気づいていても、あえて声をかけない」
という場合もありうる。
 その子が「ぼーっとしている」とか「手遊びしている」なんてのは日常茶飯
事で、「むしろいまは落ち着いている方だ」というような場合だ。その子なり
のペースで、がんばっているわけだ。そういうときは、気づいていてもあえて
放っておくことがあってもよいだろう。

 要するに、「声をかけるか、かけないか」ではなく、「気づいているか、い
ないか」が重要な判断規準となる。(教師の目の動きを見ていれば、すぐに分
かる)

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……集中できていない子に、1分間、気づいていない。
マイナス2点……集中できていない子に、2分間、気づいていない。
マイナス3点……集中できていない子に、3分間、気づいていない。
マイナス4点……集中できていない子に、4分間、気づいていない。
マイナス5点……集中できていない子に、5分間以上、気づいていない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 先ほどの「20分間気づかなかった」場面では、私が途中でさりげなく声を
かけてもよかったのだが、私は、研究授業の場では子どもたちに一切話しかけ
ない主義なのだ。(参観者の身なのだから、それが当然だ)


◆項目4◆------------------------------------------------------------
終わったら何をするのか、明確な作業指示が出されているか?
----------------------------------------------------------------------

 小学校というのは、学力の極めて低い子から極めて高い子までが同じクラス
で同じ授業を受けているという、いわば特殊な環境である。
 算数など一部の教科では「習熟度別授業」が取り入れられ始めている学校も
あるが、まだまだスタートラインである。
 そのような状況では、どちらかといえば「学力の低い子」に合わせた授業を
行うことになりがちだ。

 となると、「できる子」はあっという間に課題を終えてしまう。
 そういう子には、別の課題をいつも十分に用意しておく必要がある。
 たとえば、算数では「難問プリント」、国語では「漢字クイズ」「視写プリ
ント」「暗唱プリント」、体育では「二重跳び30回連続」「利き手の逆の手
でシュート練習」などである。

 そういうものが用意できない場面でも、「終わったらきのう図書室で借りた
本を読んでいなさい」「教科書の、まだ勉強していないページを予習しておき
なさい」など、いくらでも指示は出せる。

 そのような指示がないと、「できる子」でも「授業がつまらない」と感じる
ようになる。そして、ボーっとしたり、手遊びしたりするようになる。中に
は、他の子にちょっかいを出したりする子も出てくる。

 終わったら○○をしなさい、ノートを提出したら○○をしなさい、正解した
ら○○をして待ちなさい、などの明確な作業指示が必要な場面は、45分の授
業の中で5回ほどは生じるものである。

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……終了後の作業指示を要す場面5回のうち、1回指示がない。
マイナス2点……終了後の作業指示を要す場面5回のうち、2回指示がない。
マイナス3点……終了後の作業指示を要す場面5回のうち、3回指示がない。
マイナス4点……終了後の作業指示を要す場面5回のうち、4回指示がない。
マイナス5点……終了後の作業指示を、一切出していない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆項目5◆------------------------------------------------------------
子どもの「予想外発言」に、うまく対応できているか?
----------------------------------------------------------------------

 子どもには、予想外の発言が多い。
 教師が「この問いかけにはきっとこう答えるだろう」と予測して授業を組み
立てていても、そこから大きくはずれた答えが返ってきたりする。
 そういうときの教師の対応ひとつで、その教師の力量がパッと分かる。

 子どもの予想外発言は、いくつかに分けられる。

A……授業にまったく関連のない発言。
B……ふざけた発言。場を盛り上げて笑いを取るための、思いつき発言。
C……思いつき発言だが、実は授業の本筋に結びつく、価値のある発言。
D……真面目な発言だが、あまり授業の流れに関連のない発言。

 Aのほとんどは、前号で書いた「ヤンチャな子の逐一発言」に当たるので、
今回は扱わない。(先生、窓に蛾が止まってるよ…とか、そういう発言)

 B〜Dについて、実際の授業例で考えてみる。
 たとえば、4年生の社会科で、写真資料をもとにゴミ問題を考える学習をし
ていたとする。
 スクリーンに大きく映し出された写真を見て、「分かったこと、気づいたこ
と、思ったこと」をできるだけたくさんノートに書き、発表させる授業。
 写真には、あるゴミ埋立地の、山のようなゴミの様子が写っている。

●B……ゴミの山の中に顔が見えるよ。あのゴミが目、あのゴミが鼻、……
●C……なんだか、全体が白っぽい。まばらに雪が降ったみたい。
●D……ゴミの山の向こう側に、夕陽が見える。

●Bのような発言は、明らかに授業内容と関係がない。
 こういう発言の大半は、笑いを取るための意図的な発言だ。
 もし「顔に見える」と思っても、「授業には関係ないから、言わないでおこ
う」と考えるのが、理性ある子どもの考え方なのに、それをあえて言うという
のは、要するに「ふざけている」のだ。
 Bのような発言には、あまり取り合わず、「あ、ほんと。 まあ、休み時間
にでも詳しく教えてもらおうかな。じゃ、次の人」など、【受容するが、うま
く流す】という方法がよいだろう。

 これに対し、「Bの発言も個性として尊重する」なんていうことを言う教師
は、下手に真面目に取り合って、授業の道筋を混乱させる。あるいは、短気な
教師は、「ふざけるな!」と怒鳴り、その子や他の子の意欲の向上を削ぐ。

●Cは、散乱する白いビニール袋の多さに気づいているのである。ゴミ問題を
考える上では、重要な発言になる。このような「何気ないけど重要な発言」は
【重視して取り上げる】べきだ。「実は、今○○さんの言ったことは、とて
も重要な事実です。みなさん、なぜだか分かりますか?」
 教師の教材研究の深さが、このような対応を可能にする。

 これに対し、教材研究が浅い教師は、「なるほど、きれいな表現ですね」な
どと無意味な反応をし、せっかくのCさんの「気づき」の価値を、無にしてし
まう。

●Dは、確かに、子どもが「気づいたこと」なのだ。しかし、ゴミ問題と直接
の関連はない。ただ、Bとは違い、子どもなりに「夕陽に意味があるのかも」
と、真面目に考えたのかもしれない。
 私なら、こう応じる。
 「なるほど、確かに夕陽が見えますね。よく観察していますね」
 そして、是とも非ともせず、先へ進む。
 これも、【受容するが、うまく流す】やり方の1つである。

 これに対し、個性を過剰に尊重する教師は、こういう発言を「流す」ことを
恐れ、大きく扱って、これまた授業の流れを混乱させる場合が多いのである。

 CとDを区別するためには、教師が事前にどの程度、教材・素材を研究して
おくかにかかっている。写真の読み取りも、国語の文章の読み取りも、同じで
ある。深い研究が、子どもの「気づき」の価値を正しく判定する材料となる。

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……【受容、流す、重視】等の使い分けについて、2割不適切。
マイナス2点……【受容、流す、重視】等の使い分けについて、4割不適切。
マイナス3点……【受容、流す、重視】等の使い分けについて、6割不適切。
マイナス4点……【受容、流す、重視】等の使い分けについて、8割不適切。
マイナス5点……【受容、流す、重視】等の使い分けが、完全に不適切。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

======================================================================
次号に続く。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━