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         》》》 小学校教育が危ない! 《《《

     No.48  2007/2/10  著者:福嶋隆史

      著者HP http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/

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     No.48 危ない授業の見分け方(全6回の1回目)

 チェックリスト[1]“教師の様子”で判断する「授業の危険度」(前半)

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【 発行予定 】
チェックリスト[1]“教師の様子”で判断する「授業の危険度」
                          前 半  ←今 号
                          後 半  ←49号
チェックリスト[2]“子どもの様子”で判断する「授業の危険度」←50号
チェックリスト[3]こういう「形式」の授業は危ない!     ←51号
チェックリスト[4]こういう「内容」の授業は危ない!
                          前 半  ←52号
                          後 半  ←53号
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【 目 次 】
◇まえがき
◆項目1◆ ヤンチャな子の勝手な発言に対して、いちいち対応してしまって
      いないか?
◆項目2◆ 授業中に、「即時個別評定」をどの程度行っているか?

(項目ナンバーは、今後も通し番号でつけていく予定)
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◇まえがき

 今号から6回に渡り、「危ない授業の見分け方」を特集する。

 【危ない授業】とは何か?

 それは、

 ・子どもに学力がつかない授業
 ・出来る子は飽きてしまい、出来ない子は一層出来なくなる授業
 ・子どもが「楽しくない」と感じる授業
 ・子どもがどんどん「勉強嫌い」になる授業
 ・学校に行くのがつまらなくなる授業
 ・学級崩壊の火種となる授業
 ・いじめが生まれる素地となる授業

 である。

 これらを、たった1回の授業を観ただけで見抜くことができるようになるた
めの「20項目」を、6回に分けて書いていく。
 項目ごとに、5段階で評定できるようにしてある。
 つまり、全部チェックすればその教師の授業を100点満点で採点できる。
(減点法で採点する)

 大胆不敵なこの分析をどう捉えるかは読者諸氏次第であるが、私の分析が単
なる独りよがりでないことは、現場教師の皆さんならはっきりと分かるであろ
う。

 では、早速。

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チェックリスト[1]教師の様子で判断する「授業の危険度」(前半)

◆項目1◆------------------------------------------------------------
ヤンチャな子の勝手な発言に対して、いちいち対応してしまっていないか?
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 教師が話している間、元気でヤンチャな子は、求められてもいないのにいち
いち発言する(逐一発言)。
「あ、先生、それ知ってるよ、聞いたことある!」
「え〜? ちょっと待って、しつもーん、その絵もノートに写すんですか〜」
「それ、その虫の話、テレビで見たしね、本でも読んだしね、……」

 ヤンチャな子は、「今、発言してよい場面かどうか」を考えずに、勝手に話
し出すことが多い。
 話している内容が、たとえどんなに興味深い観点の話でも、教師が話してい
る最中に割り込むのを許してはいけない。

 しかしそれに対して、いちいち返事をしてしまう教師がいる。
 その子の勝手な発言に教師が返事をするたびに授業は止まり、様々な位置か
ら磁石を近づけたときの方位磁針のように、授業の方向性は見事にかき乱され
る。
 結果的に、その授業は「その子に支配された授業」になってしまう。

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……5回の「逐一発言」のうち1回に、返事をしてしまう。
マイナス2点……5回の「逐一発言」のうち2回に、返事をしてしまう。
マイナス3点……5回の「逐一発言」のうち3回に、返事をしてしまう。
マイナス4点……5回の「逐一発言」のうち4回に、返事をしてしまう。
マイナス5点……「逐一発言」の全部に、逐一、返事をしてしまう。
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 ただし、返事をせずに無視すればよい、というわけではない。
 逐一発言をする子というのは、意図的に邪魔しているわけではない場合が多
い。軽度発達障害児の場合などが、それに当たる。

 そういう子が勝手に発言した場合は、完全に無視するのではなく、少なくと
も一瞬、0.2秒でいいから、その子の目を見てあげるとよい。
 見るだけでよい。何も言わない。
 それだけで、その子は、「一応受け入れてもらえた」という気持ちを持つこ
とができる。



◆項目2◆------------------------------------------------------------
授業中に、「即時個別評定」をどの程度行っているか?
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━━━「評価」が重要だ━━━
 Plan Do See というのは、どんな仕事にも欠かせない過程である。
 計画し、実行し、評価すること。
 これは、授業でもまったく同じだ。
 指導計画を立て(Plan)、子どもに何かをやらせたら(Do)、それについて
の達成度を評価する(See)ことが、必要不可欠なのである。

 このこと自体は、99%の教師が知っている。
 どんな「学習指導案」であれ、この3つは必ず書かれている。
 ほぼすべての教師が、「評価」の重要性を理解している――頭の中では。

━━━「評定」はもっと重要だ━━━
 しかし、実際に具体的な行動をとっている教師は少ない。
 とりわけ、「評定」になると数が激減する。
「評定」というのは、「評価」の中でも特に数値によるものを指す。

「前回よりも上手に音読できるようになった」は評価。
「前回の音読は7点、今回の音読は9点」は評定。
「筆算の途中の繰り上がりを、ほぼしっかりと書けている」は評価。
「筆算10問のうち8問は、繰り上がりを正確にかけている」は評定。
「今の前転(マット運動)は、なかなか上手」は評価。
「今の前転は、回転加速がA、起き上がりの姿勢がB」は評定。

 子どもにとって、達成度が明確につかめるのは、評価か、評定か?
 評定だ。
 子どもに対し、次なる目標地点を明確に与えているのは、評価か、評定か?
 評定だ。
 子どもが、自分の上達をはっきりと実感できるのは、評価か、評定か?
 評定だ。

━━━「個別評定」は、さらに重要だ━━━
 このような評定は、個別でないと意味がない。班に対する評定とか、全員に
対する評定とかいうのは、ほとんど意味がない。
 評定とは、1人1人の子が自分の達成度を知り、次なる目標地点を見定める
ためにこそ、ある。

(その評定数値は、多くの場合、教師の授業力に対する評定数値と重なる)

━━━「即時個別評定」が、最も重要だ━━━
 「評定」は学期末にだけすればいい、と思っている教師が多い。
 つまり、「通知表(成績表)」を書く段階になるまで、評定を放置している
のだ。
 もちろん、定期的なテストの点数くらいは記録しているはずだが、日常的な
授業の中での、子どもたち1人1人の達成度をそのつど記録している教師は、
極めて少ない。

 ○○さん、この文はBです。接続詞が正しく使われていませんよ。
 ○○さん、この文はAです。接続詞が正しく使われていますね。
 ○○さん、この文はAAです。接続詞が正しく使われており、しかも、先ほ
ど教えた比喩を上手に使っています。読む人に伝わり易い文になっています。

 私は、国語・算数の7〜8割の授業で、このような「即時個別評定」を行っ
ていた。
 授業中に、最低1人1回は、ノートを持ってこさせ、その場で評定した。
 この問題だけチェックすれば、その子がこの授業の学習目標をクリアしてい
るかどうかがはっきりする、という問題を事前に選択しておき、それだけを見
るのだ。
 必要に応じて、記録をとる。
 チェックと記録とで、1人2〜3秒。
 全員見ても、たいした時間はかからない。

 もちろん、「C」と評定するときは、気を使った。
 その子がその時間中に「C゜(シーマル)」まで上がるかどうかを見極め
て、上がりそうなら、Cをつける。がんばれ、という激励とともに。
 もしそれが無理そうならば、あえて甘く「B」に留める、ということもあっ
た。そこには、その子にとって高すぎる目標を与えてしまった自分への反省も
こめられている。
 
 なお、理科・社会では、4〜5割の授業で、即時個別評定を行った。
 体育では、さすがに水泳などは難しいが、バスケやサッカー等の試合の最中
には、全員の動きをすべてチェックし、名簿に記録を取っていった。
 パス・ドリブル・シュートなどの技能別に素早くメモを取り、1試合が終わ
るごとに、短くコメントした。
「○○さん、パスが5回も成功したね。すごい!」とか、
「○○さん、今日は、この前より2回も多くシュートにチャレンジしたね。入
 らなかったけど、えらい!」とか。

 このようにほめられてこそ、子どもは、そのほめ言葉を心から嬉しく感じ、
また、自分をちゃんと見てくれていたその教師を、信頼するのである。

<チェック基準>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイナス1点……8割の子に即時個別評定を行っている。2割はしていない。
マイナス2点……6割の子に即時個別評定を行っている。4割はしていない。
マイナス3点……4割の子に即時個別評定を行っている。6割はしていない。
マイナス4点……2割の子に即時個別評定を行っている。8割はしていない。
マイナス5点……即時個別評定を全く行っていない。
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次号に続く。

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