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》》》 小学校教育が危ない! 《《《
No.45 2007/1/31 著者:福嶋隆史
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No.45 子どもの健康を守れない教師たち
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その2:過剰な節電をやめよ!/教室環境にも法的基準がある
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【
目 次
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(1)過剰な節電をやめよ!
(2)驚くなかれ!「教室環境」には、これだけ細かな法的数値基準がある!
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以下本文
(1)過剰な節電をやめよ!
隣の教室の前を通りかかったとき、明かりが消えていることに気づいた。
(あれ? このクラス、今は算数のはずだけど……)
そう思ってよく見ると、子どもたちは普通に授業に参加している。
教師も、授業をしている。
しかし、教室の照明は、すべて消えている。すべて。
窓側はまだしも、廊下側の子どもたちはかなり暗い中でノートに向かってい
る。
なぜ明かりを落としているんだろう?
職員室に戻った放課後、隣のクラスの先生に質問してみた。
「あの……さっき算数の時間、どうして電気つけてなかったんですか」
すると、当然のように次の答えが返ってきた。
「節電だよ、節電」
その先生は、かなりのベテラン教師。
節電・節水などに気を使う年代の先生、と言ってもいいかもしれない。
もちろん、節電や節水はすばらしいことだ。
「率先垂範」の精神で子どもたちに見せていくべき行動でもある。
しかし果たして、授業中に照明を落としてまで節電すべきなのだろうか?
「節電ですか…あ、それとも、もしかして、テレビでもつけてたんですか?」
テレビをつけるときなどは、画面が見にくくなるのを避けるため、明かりを
落とすのが普通だ。
「いや…そういうことはないけどね」
「そうですか……ちょっと暗いような気がしましたけど。廊下側の○○さん、
目が悪い子じゃありませんでしたっけ……」
「まあね……ハハハ」
その場の話はそれで終わった。
しかし、節電を過剰に励行する教師は、他の学校にも何人かいた。
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(2)驚くなかれ!「教室環境」には、これだけ細かな法的数値基準がある!
この話……皆さんはどう思われるだろうか?
そのベテラン教師にも一理ある、とお思いになるかもしれないが、私は、授
業中の節電なんて不要と思っている。
不要…どころか、暴挙である。
夏場に冷蔵庫の電源を切って「節電」することと同じように、勉強中に教室
の照明を切って「節電」することもまた、暴挙である。
そもそも、教室の「天井の高さ」「照明器具の照度」などには、法的に管理
された数値基準がある。
もし、その基準をクリアする照明を設置していたとしても、教師が意図的に
それを切ってしまっては、元も子もないというものだ。
数値基準は、下記に詳しい。
【学校環境衛生の基準】(文部科学省体育局長裁定)(学校保健法に基づく)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/08/020201/020201a.htm
ぜひ一度ご覧いただきたい。
ちなみに、これを読むと、前回44号で扱った「換気」についても、厳密な
データが記載されている。
「換気回数は、40人在室,容積180立方メートルの教室の場合、幼稚園
・小学校においては、2.2回/時以上、中学校においては,3.2回/時以
上、高等学校等においては,4.4回/時以上を基準とする」
とある。
一酸化炭素、二酸化炭素などについても、細かに決められている。
騒音についても、詳しく書かれている。
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私は、窓からどんなに明るい日差しが差し込んでいても、照明を落とすこと
はほとんどなかった。
日差しというのは、変化するからである。
太陽は動くし、雲に隠れることもある。
子どもたちを、明るさの不安定な環境におくのはよくない。
太陽が雲に隠れるたびにスイッチを入れるのならよいだろうが、そうそうス
イッチばかり気にしてはいられない。
ある子が、「外が明るいし、こっち側だけ切って節電すれば?」と提言して
くれたときにも、ほとんど切らなかった。
「節電は、基本的にはいいことですね。でも、エネルギーは、使うときには
使っていいんですよ。誰もいない教室で電気をつけっぱなしにするとか、そ
ういう無駄に気をつけていれば、あとは使っていいんです」
私は、子どもたちにそのように話した。
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照明ひとつとってみても分かるが、子どもへの細かな配慮というのは、教師
によってこうも差が出るものなのである。
公立学校の教師は、「公務員」である。
このような配慮は、公務員としての基本的責務だと私は思う。
(★次の発行は、土曜日です。お楽しみに。)
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