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         》》》 小学校教育が危ない! 《《《

     No.44  2007/1/24  著者:福嶋隆史


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       No.44 子どもの健康を守れない教師たち

      〜 その1:風邪の蔓延も、教師に一因がある 〜

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【 目 次 】
(1)小学校教師の呆れた非常識
(2)意図的に換気している教師はせいぜい2割
(3)窓を開け放つクラスは、風邪の罹患率が低い
(4)換気は、ホコリやウィルスの排除のためだけではない
(5)窓を開けないのは、子どものせいか?
(6)換気している教室とそうでない教室を瞬時にチェックする方法
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(1)小学校教師の呆れた非常識

 あなたは、窓を閉め切ったまま、家の中で掃除機をかけるだろうか?

「まさか。普通、開けるでしょ?」

 そう。窓を開けるのが常識だ。

 しかし、しかし、しかし。
 多くの小学校教師には、この常識がないらしい。
 給食後の掃除の時間、多くの教室では、窓を閉め切ったまま(そう、完全に
閉め切ったまま)掃除が行われているのである。

 クラス数十名の子が、一斉に机を動かし、ホウキでバサバサと掃き、ドタバ
タと雑巾がけをする――この時間帯、どれだけのホコリや雑菌がウヨウヨと飛
び散るか、想像に難くはあるまい。(掃除機の比ではない)

 そもそもそこは、ただの「部屋」ではない。「教室」である。
 数十名の子どもが、登校してからたった4時間程度過ごすだけで、いかに多
くのゴミやホコリが発生するか、教師ならよく知っているであろう。

 掃除のときに窓を開けない教師。
 これはもう、「無知」「非常識」そして「無責任」以外の何ものでもない。

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(2)意図的に換気している教師はせいぜい2割

 まあもちろん、夏場は暑いから、全教室で窓を開けている。
 しかし、問題は今のような冬場である。

 私はこれまで、4つの小学校で勤務してきたが、どこの小学校でも状況は似
たりよったりだった。
 学校全体の5割近くの教室では、掃除の際に窓がほぼ完全に閉め切られてい
た。
 また、残りの3割の教室では、1〜2箇所の窓がほんの少し開いているだけ
だった。
 開けられる窓のほとんどを開け放ち、意図的に空気を入れ替えている教室
は、ほんの2割。
(1学年3クラス・全18クラスとして、たった3〜4クラス)

 これが、私の実感である。

 なぜそんなに学校全体のことを知っているかって?
 そりゃ、見て回ったからだ。
 給食室に下膳を終えて自分の教室のある3階に戻ってみると、そのフロア
が、なにやら臭い。
 妙な臭気が漂っている。「人いきれ」というやつだ。
 ズラッと並んだ廊下側の窓がどれも閉め切られて白く曇っており、空気が澱
んでいる。
 掃除中だというのに。
(窓を締め切った冬場の満員電車の中のような不快感だ)
 廊下の窓ガラスが曇っておらず透明なのは、私のクラス付近だけ。

 これ、いったい、どれだけの教室で窓を開けているのだろう?
 もしかして、うち以外全クラス閉まってるんじゃないか?
 ――そう思って、見て回ったことが何度かあったのだ。

 もちろん、ただ観察して歩いたわけではない。
 廊下側の窓を少しずつ開けながら、声もかけて歩いた。
 「窓……開けたほうがいいんじゃないですか〜」と、その教室の教師にやわ
らかく笑顔で声をかけたこともあるし、掃除中の子どもたちに「窓を開けない
と、空気が汚れちゃうよ」と声をかけ、開けさせたこともある。

 また、養護教諭(保健室の先生)に、「換気の重要性を、朝会などで伝えて
もらえませんか」と頼んだこともある。
 もちろん、養護教諭は積極的に伝えてくれた。
 それが養護教諭の務めであるから。

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(3)窓を開け放つクラスは、風邪の罹患率が低い

 でも、それだけのことをしても、窓を開けようとしない教師が非常に多かっ
た。
 理由は簡単。
 自分が寒いから。そして、無知だから。
 無知――そう。窓を閉め切っている場合と、休み時間ごとに開け放っている
場合とでは、風邪の罹患率に大きな差が出るということを、知らないのだ。

 ある教師はこのことについて、教師向けセミナーの中で語っていた。
 その教師は、休み時間どころか、真冬の授業中でもほとんどの時間に教室の
窓を開けていたそうだが、そのクラスは学校全体で風邪の罹患率が最も低かっ
たそうである。

 とはいえ、さすがに私は、授業中に「寒いよ〜先生」と子どもたちに懇願さ
れてまで窓を開け放ち続けようとは思わなかった。
 だから、「授業中は閉め、休み時間や掃除の時間には開ける」というルール
を確立。
 約束どおり、休み時間や掃除の時間には、真冬でも必ず窓を開けた。
 または、「窓開け係」に窓を開けてもらった。
 あるいは、気がついた子が、自発的に窓を開けた。
(まあもちろん、既に風邪を引いた子が教室内で休んでいる場合などは、早め
 に閉めたけれども)

 このように窓開けを徹底した結果、風邪を引き始める時期が1ヶ月ほど他の
クラスより遅くなった実感があった。(日々の欠席者数で分かるのだ)
(それでも引いてしまうのは、兄弟姉妹、家族、その他あらゆるところにウィ
 ルスが蔓延しているからである)

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(4)換気は、ホコリやウィルスの排除のためだけではない

 換気をしないと増えてくるのは、ホコリや風邪のウィルスだけではない。
 一酸化炭素・二酸化炭素も、充満する。

 原因は、冬場のストーブだ。
 灯油を燃やすタイプのストーブが使われている学校は、たくさんある。
 そういうストーブからの排気(一酸化炭素)は、煙突を通じて外へ出るよう
になっているが、それでも少しは教室内に漏れ出てくる。
 休み時間のたびに換気するくらいじゃないと、子どもたちの頭がフラフラし
てきたとしても、おかしくはないのである。

 二酸化炭素は、ストーブからも当然出るが、子どもたちの呼気にも含まれ
る。
 1日中窓を閉めていたら、かなりの二酸化炭素が充満するだろう。
 気分が悪くなる子が出るのも、無理はない。

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(5)窓を開けないのは、子どものせいか?

 ところで。
 窓を開けないことを子どものせいにする教師がいるが、それはおかどちがい
だ。
 1〜4年生くらいの子は、よほど家庭でしつけられていない限り、「窓を開
けなきゃ」なんていうことに気がつかない。
 せいぜい、クラスに1〜2人いるかいないかである。
 5〜6年生でも、せいぜい4〜5人だろう。

 それを、子どものせいにしてはいけない。
 窓を開けることや換気することの重要性を教えるのも、指導のうちである。
 保健の教科書にもちゃんと載っている。

 というか、そもそも、こういうことは「習慣づけ」だから、教師が日常的に
声をかけていれば、自然と身につくものなのだ。

 たとえば、掃除のときにちゃんと教師が教室の掃除の様子をチェックしてい
れば、声をかける機会も増えるだろう。
 しかし、多くの教師は、子どもが掃除をしている間、職員室で仕事をしてい
たり、印刷室でコピーに夢中?になったりしている。
 まあ、ある程度はしかたのないことだが、本来はできる限り、掃除の指導を
するべきだ。

 要するに、教師の努力が足りないから、子どもが窓を開けることすらできな
いのである。

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(6)換気している教室とそうでない教室を瞬時にチェックする方法

 ところで、私が校内の換気状況が気になってフロア全体を見て回ったのは、
実はほんの2〜3回である。
 しかしそれでも、「多くの教室で多くの時間帯に窓が閉め切られている」と
推測できる理由は、ちゃんとあった。

 それは、週に1回程度校庭で行われる全校朝会のときのこと。
 校庭側から校舎を見上げると、どこの教室の窓が閉まっていてどこの教室の
窓が開いているか、一目瞭然なのである。

 ところで、全校朝会が行われる日の朝は、教師も子どもも、忙しい。
 子どもたちは、教室にランドセルを置くやいなや、すぐに外へ出なければな
らない。
 教師も同様である。

 朝会で校庭から校舎を見上げたとき、窓が開いているクラスは、そんな忙し
い朝にも関わらず、窓を開けてから、教室を出てきているクラスだ。
 そういうクラスは、掃除の時間にもちゃんと窓を開けているはずだ、と推測
できる。
 逆に、いつもいつも、朝会のときに窓が閉め切られているのなら、そのクラ
スは、掃除の時間にも窓を閉め切っている可能性が高い。

 これを読んだ先生方、あるいは保護者の方々。
 ぜひ、校庭から教室の窓を見上げてみていただきたい。
 子どもの健康管理に気を使っている教師の教室は、きっと窓が開いているは
ずだから。

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