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         》》》 小学校教育が危ない! 《《《

    No.40  2006/12/27  著者:福嶋隆史

      著者HP http://www.yokohama-kokugo.jp

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       No.40 〜 教師の「多忙」 その実態[3]〜

          “なよなよ”した民主主義をやめよ!

         No.38 No.39 No.40

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目 次
【1】教師の時間を奪う、その「仕事」とは
【2】会議を早く終わらせるための第1の方法
【3】会議を早く終わらせるための第2の方法
【4】まとめ
【5】会議が始まる前にも手を打つのだが……
【6】学年主任 → 教頭 → 校長 → 教頭 → 学年主任 …
......................................................................

【1】教師の時間を奪う、その「仕事」とは

 さて。
 教師には、大別して3種類の仕事がある。

 (1)授業
 (2)授業の準備
 (3)上記以外の仕事

 38号でも触れたように、8時から17時までの正規の勤務時間の大半は、
(1)に費やされる。
 何しろ、多くの場合、15時までが授業なのだから。
 しかし実態は、(3)に要する時間が(1)と同等、あるいはそれ以上に及
ぶ。
 当然、残業が必要となる。
(1)と(3)が終わると、それだけで夜が更けてしまう。

 だがなんとかして、(2)の時間を確保したい。
 ――授業こそ、教師の本業なのだから。

 そして出来る限り、正規の勤務時間内に(3)の仕事を終わらせたい。
 ――自分の時間を作り精神的余裕を持つことも、大切なのだから。

 そのためには、とにかく効率的に仕事を進める必要に迫られる。
 しかし、とある「仕事」が、どうしてもその効率化を邪魔する。

 それは、「会議」だ。

 いったい何が、会議を長引かせているのだろうか。
 どうすれば、会議を短くできるのだろうか。

 今回は、これについて考える。

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【2】会議を早く終わらせるための第1の方法

 会議とは本来、「決議・決定する場」である。
 ただの「話し合いの場」ではない。

 それなのに、延々と話し合っておきながら、最終的には提案した部会に差し
戻したりしているのが、多くの小学校の現状である。
 基本的な「会議進行手順」ができていないから、そうなるのだ。(このあた
りは、33号【学校現場から無くすべきもの20選】の18番で書いたが)

 ここで、読者のみなさんに問題。

++++++++++【 問 】++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 学校の会議がいつも遅くなり、勤務終了時刻の17時を超えても終わらず、
その上、最終的に決議されずに終わることには、あるひとつの大きな理由があ
る。
 単純な理由だ。
 それは、「民主主義の大原則たる“ある方法”」を、多くの職員が避けてば
かりいるからだ。
 その方法とは何か。一語で答えよ。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 さて、お分かりだろうか。

 ↓ 【答え】 ↓


 それは…多数決である。
 学校の職員会議では、多くの職員が多数決を避けている。

 それには、2つの理由がある。

 第1に、「多数決なんてしないで、なるべくみんなの意見を聴きましょう
よ…」「15人 対 16人で決まっちゃったら、15人の皆さんに申し訳ない
し…」「職場の人間関係を傷つけたくないし…」というような、“なよなよ”
した態度。

 第2に、2000年に旧文部省から出された通知。
 それは、「職員会議は意思決定権を持たない」という趣旨のもの。要する
に、決定するのはあくまでも校長。職員会議で話し合われた内容は、校長の決
定のための「参考」に過ぎない、ということ。
 これによって一層、「多数決」という方法を採りにくい状況になった。
(なお、東京都教育委員会が、職員会議での挙手採決を禁止し校長権限を強化
 するために「学校経営の適正化について」という通知を今年の4月に出した
 ことは、記憶に新しい)

 まあ理由はどうあれ、「多数決」によって会議の時間が削減できるのは間違
いないところだ。
 議題にもよるが、ある程度――長くても30分――話し合われたなら、もう
十分だ。
 “なよなよ”してないで、早く決めてしまった方がいい。
 30分を超えたら、あと何時間話したって、堂々巡りなのだから。

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【3】会議を早く終わらせるための第2の方法

 もっと簡単な方法もある。
 それは、ある程度話し合われたと思ったら、校長が議論を打ち切り、決定す
ることである。

 校長がリーダーシップを発揮して結論を下すべき、という意見は、ある意味
当然の意見なのだ。
 校長には法的に「校務掌理権」があるのだから。

 ただし現状では、素早く決断しない校長が多い。
 そういう校長は、責任を果たす覚悟が無いのだ。

 某・不動産関連会社のCMにおける“お父さん”のセリフ――「父さんはい
いよ。みんながいいならいいよ」にも似た、ある意味で美しく、ある意味で優
柔不断な態度で通そうとしているわけだ。

 こういう校長もまた、“なよなよ”した民主主義に与する人間なのである。

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【4】まとめ

 ここまでをまとめると、こうなる。

━━━会議を早く終わらせるための“解決方法”は2つ━━━━━━

1◆ 一定時間の議論が終わったら、多数決を採り、会議を早く終わらせよ。
   それ以上は、堂々巡りなのだ。なお、提案部会への差し戻しは禁止。

2◆ 多数決が無理ならば、校長が素早く決断せよ。

 ※ くれぐれもことわっておくが、私は、「職員会議」の価値を極度に主張
   し、文部科学省や都教委を攻撃するわけでもないし、かといって、「あ
   くまでも校長がすべて決定せよ」と主張し、文部科学省や都教委を支持
   するわけでもない。単に、教師の時間確保のために、上記「1」か
   「2」の方法でさっさと決断して先に進め、といっているに過ぎない。

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【5】会議が始まる前にも手を打つのだが……

 ここまで書いたのは、「会議が始まってから」の解決方法である。
 当然ながら、会議が始まる「前」にも、手を打つことはできる。

 会議での「話し合い」が長引かないように、多くの学校では、会議での提案
事項を「運営委員会」等で事前に検討している。そこには校長・教頭・主幹・
教務主任・学年主任等が出席する。
 「運営委員会」に出されないような事項については、事前に教頭に打診し、
提案内容を検討してもらう。

 これらの「事前検討」によって、会議はある程度早く進むようになる。

 しかし、このような事前検討で確認されたはずのことが、職員会議で打ち消
されてしまうことがある。
 まあ、それは民主主義のよさでもあるのだが、時間の無駄だとも言える。

 だって、教頭が「よし、これで出していいよ」と言ったものを会議に出して
いるのに、「これはおかしい」という意見が多数挙がり、会議が混乱するなん
て、あまり芳しいことではない。
 そうやって混乱しても、結局は、教頭の意見(ほとんどの場合、校長の意見
と同じ)に落ち着くのだから、やっぱりこれも、時間の無駄である。

(なに? 話し合う「過程」に意味があるじゃないか、って?
 まあ、それは一理あるけども。
 でも、そのために、いったいどれだけの時間を使っているんだ?)

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【6】学年主任 → 教頭 → 校長 → 教頭 → 学年主任 …

 ここまでは、学校全体の会議についてのみ言及した。
 しかし、学校で行われる「会議」は、もっとたくさんある。
 職員会議なんて月に1回しかないが、○○委員会、○○部会、○○実行委員
会…などの会議は、週に2〜3回は平気で行われる。
 もちろん、学年の教師同士の打ち合わせ(学年会)もそれに入るし、宿泊体
験学習や運動会などの大型行事の前には、頻繁に話し合いが持たれることにな
る。
 そのつどそのつど、話し合いは長引く。

 その理由は3つ:

1……多数決を嫌う、“なよなよ”した教師が多すぎる。
2……「決め直し要求」が多すぎる。
3……くだらないおしゃべりが多すぎる。

 2について。
 たとえば、ある学年で行う遠足について、学年会を経て学年主任が「A」と
いう方針を決めても、その報告を受けた教頭が「B」に修正せよ、と指示す
る。
 その後、教頭が「B」を校長に報告すると、「B」はまずいから、「C」に
せよ、という指示が出る。
 教頭は、学年の教師に気を使って、「C’」の案を学年主任に示す。
 学年主任は、「C’」を具体化するために、学年会でゼロから話し合いを始
める…

 …こんなことが繰り返されるから、時間がやたらとかかってしまうのだ。

 AがBになるのはしかたないとして、BがCになってしまうのは、校長と教
頭の意思疎通の問題である。
 いい迷惑である。

 常に、校長の意見は教頭の意見とイコールでなければおかしいのだ。
 同じ管理職である以上は。

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 まあ、難しい話になったが、私が言いたいことは1つだけだ。
 さっさと無駄な会議を終わらせて、質の高い授業を創る為の準備をせよ。
 それだけだ。


おことわり…今回は、珍しく、抽象的でちょっと難しい話になってしまった。
      いつもは、具体的で身近な話題がほとんどなのだが……
      まあ、たまにはこういうのもよかろう。
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