小学校教育が危ない!  福嶋隆史HP TOP

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        》》》 小学校教育が危ない! 《《《

       No.30  2006/10/25  著者:福嶋隆史

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           No.30 こんなものは要らない!

      〜学校現場から無くすべきもの 20選(その1)〜

           その1 その2 その3 その4

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 小学校には、「不要なもの」がたくさんある。
 それを、大小取り混ぜて列挙してみたい(順不同)。
 「20選」を、今号から3回ほどに分けて書く予定だ。

 列挙する項目の中には、このメルマガ上でこれまで詳しく取り上げた内容も
ある。
 その場合、【参照ナンバー】として号数・タイトルを併記した。
 ただし、このメルマガのバックナンバーは、HPで一部を公開しているだけ
なので、お読みになれない方も多いと思う。
 そのような皆さんは、ぜひ【小冊子】をお待ちいただきたい。
 ちょうど最近、小冊子第1号の印刷を、「まぐまぐポケット出版」に依頼し
たところだ。
 1〜2ヶ月もすれば、HP上でのネット販売を開始できる見込みである。
 どうぞお楽しみに!!


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【1:準備運動の掛け声】

教 師:「いち、にい、さん、し!」
子ども:「ごー、ろく、しち、はち」

 このような掛け声は、不要である。
 むしろ、害がある。
 体育における準備運動は、ストレッチが目的だ。筋トレじゃない。
 スムースに体が動き、怪我をせずに済むように、腕や足、腹、首などの筋肉
を伸ばす。
 それが目的だ。

 ストレッチ運動に、スピーディーな「リズム」や「勢い」が必要だろうか?
 否!
 黙って静かに、じーっと伸ばせばいい。
 そうでなければ、伸ばすことに集中できないはずだ。

 それなのに、子どもたちが声を出して数えないからといって、
「はい、もっと大きな声出して!」
などとやっている教師が多い。
 「古くからのならわし」の誤りに気づかなければならない。

 どうしても数を数えたければ、次のようにすればいい。
「はい、先生が10数える間ゆっくりと伸ばしなさい。いーち、にーい、さー
 ん、……じゅーう! はい、終わり」
 このように、教師が声を出して数えるだけなら、かまわない。

 ちなみに、「体育係」の子に準備運動のリードを任せている教師がいる。
 その間、その教師は場を外し、用具の準備をしたりしている。
 これも、大きな誤りだ。

 準備運動とは、教師が考えた運動メニューで行うべきものである。
 その授業で主に使う筋肉を重点的に伸ばすよう、教師が内容を組み立てて行
うのだ。走る運動なら足の様々な筋肉を、バスケなら手指の関節までをちゃん
と伸ばすよう、教師が意図的に指導を行う。

 また、どの子が準備運動をしっかりやっていて、どの子がさぼっているのか
を、教師はちゃんと見ていなければならない。あまりにもさぼっている子は、
怪我をする(させる)可能性が高くなる。もう一度準備運動をやらせるか、運
動せずふざけているのなら一時的に見学させるか。それくらいのことが必要
だ。

 なお、「準備体操」という呼称はおかしい。
 正しくは、「準備運動」だ。「ストレッチ運動」なのだから。
 「体操」と呼ぶから、1,2,3,4……と数えたくなってしまうのだ。


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【2:今月の目標】

 学校の階段踊場や廊下、あるいは教室の掲示板などに、「今月の目標」が
貼ってある。
 たいてい、こんな内容だ。

「お友だちと仲良くすごそう」
「晴れた日は外で元気良く遊ぼう」
「給食を残さず食べよう」

 学期の終わりごろには、こんなものもある。
「これまでの学習をしっかり振り返ろう」

 こんな形だけの美辞麗句やスローガンで、子どもが変わるとでも思っている
のか?
 今テレビでことさら取り上げられている「いじめ」があった学校の壁にも、
「お友だちと仲良くすごそう」という掲示がきっと貼ってあったことだろう。

 こんな無駄な掲示は、一切やめることだ。
 内容そのものが無駄、そして画用紙の無駄、印刷の手間やインクの無駄。

(いや、冗談ではない。「目標」を1回掲示するのに、相当な枚数の画用紙を
 使っている。カラーの上質紙。経費削減をするのなら、こういうところから
 行うべきだ)


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【3:学級目標】

 学校というのはとにかく「スローガン」が大好きだ。
 教室の黒板の上には、具体性・実効性のない、形だけの学級目標が掲げられ
ている。
 私は、学級目標なんていうもの自体要らないと思っていたが、他の学年・学
級がどこも作っているから、やむなく作った。
 でも、作るからには、実現させられるものを目指した。
 子どもたちと相談しながら作った結果、このようになった。

 第1の目標:「学びは遊び、遊びは学び」
 第2の目標:「けん玉と百人一首が日本一好きなクラス」

 第2の目標は、作ったのが6月ごろだったから、既にどの子もけん玉と百人
一首を楽しむようになっていた。(なぜこの2つなのかについては、福嶋のH
Pをご覧いただきたい)(けん玉については下記)
http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/06-mysite-kendama-reki.html

 とりわけ百人一首については、実際に“日本一”と言っても過言ではないと
ころまで到達した。詳しくは、これもHPをご覧いただきたい。
http://www16.ocn.ne.jp/~wildcard/06-mysite-sokuseki.html

 第1の目標も、私は多くの授業の中で実現させた。
 学ぶときは遊ぶときのように楽しく。
 遊ぶときは学ぶときのように真剣に。
 勉強とは本来面白いもの・熱中したくなるものなのだ、ということを、私は
子どもたちに伝えることができたし、遊びの中からも多くのことを学べるのだ
ということを、体験してもらうことができた。
(詳しくは、また他の機会に)

 まあとにかく、実現させられないような無駄な目標は、掲げないことだ。


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【4:音読カード】

 音読のチェックは、れっきとした教師の仕事だ。
 国語の授業の中で、しっかりと行うべきだ。
 それを親にまかせっきりの教師が、非常に多い。

 音読カードとやらを他の教師に見せてもらったら、読む速さだの正確さだの
を、◎、○、△などで書くようになっている。こんなもの書かせられても、親
は困ってしまうだろう。
 何を基準にすればいいのか? 迷って当然だ。

 教師は、このように親に丸投げしていることがないかどうか、再度チェック
しなければならない。

  【参照ナンバー:第4号……音読の「指導」も「評価」も放棄する教師】


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【5:総合学習】

 “総合的な学習の時間”。
 そもそも、こんな曖昧なお題目じゃ、「なんでもタイム」になってしまって
も仕方がなかったのだ。
 その実状については、第12号〜14号に詳しい。

 総合学習なんてやめて、以下のような科目を新たに創設する方がずっとい
い。

「国際理解」「環境」「情報」「福祉」「健康」

 学習指導要領には、これらの言葉がちゃんと例示されている。
 最重要の指導内容を例示しているのだ。
 それなのに、どの学校も、これらを軽視、あるいは無視している。

 とはいえ、英会話の授業が小学校で実現しそうな流れになっていることは、
価値あることだと思う。
 もちろん、賛否両論あるだろうが、私は断然賛成派だ。
 言語というのは、
<国語 → それが終わったら → 英語>
 なんていう「順序」を必要としないのである。
 両方を同時に行うのは、容易なことなのだ。
 むしろ、年齢が低いうちだからこそ、両方同時に習得できる。
 脳科学で証明されていることだ。

 新しい文部科学大臣などは英会話導入否定派のようだが、子どもの脳のつく
りをもっとちゃんと勉強し、子どもの潜在能力や可能性を信頼してほしいもの
だ。

       【参照ナンバー:第12〜14号……腐敗する「総合学習」】


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【6:形だけの学級懇談会(保護者会)】

 懇談会とは名ばかりだ。
 本当に「懇談」になることは少ない。
 参加する保護者はクラスの半数程度。
 ときには3分の1にも満たない。
 みんな押し黙っていて、指名されたときだけ「形だけの挨拶」「形だけのほ
めことば」を残し、あとは途中退席する。

 こういう価値の無い保護者会になってしまう責任は、7:3で教師にある。

 私は、懇談会や保護者会が得意な方ではなかったが、別段苦手でも嫌いでも
なかった。

 私は、保護者の方々に喜んでもらえるよう、いつもビデオ映像を用意してい
た。
 普段の子どもたちの生活ぶりを1〜2分ずつ「撮りだめ」しておいた合計
20分間ほどの映像を、教室で保護者に見せるのだ。
 あまり授業参観では行わない体育や書写、あるいは給食、掃除、朝の登校直
後の様子などをこまめに撮影したので、毎回けっこう好評だった。

 とはいえ、懇談会(保護者会)を頻繁に行っている学校は、ちょっと首を傾
げたくなる。本当に意味があるのか。
 その時間を、授業準備に充てさせてほしい。
 何度もそう思った。
 ほかならぬ子どもたちのためだ。


――――■こんなものは要らない!■――――――――――――――――――

【7:心のノート】

 道徳の授業で使うために、全国の小学校で配布されているサブノートだ。
 文部科学省発行。
 ノートというよりは、記入欄があるテキストみたいなものだが。
 厚さ約5mm、100ページほどで、中身はフルカラー。
 相当な金をかけて作っている。

 しかし、あまり使えない。役に立たない。
 正直なところ、それこそ「美辞麗句」オンパレード。

「よく考えることが、あなたをもっと伸ばす」
「人の心の美しさをさがしてみよう」
「自分に正直になれば心はもっと軽くなる」

 どれも、正しい。美しい。
 でも、ただそれだけのことだ。
 説得力がない。
 心のノートなのに、心に響かない。

 民間の出版社が作っている道徳副読本の小話の方がまだマシだ。
 それに、NHKの道徳テレビ番組の方が、よほど役立つ。

 心のノートを教室で頻繁に活用しているという教師に、私は出会ったことが
ない。
 どの教師も、「ほとんど使っていない」と言っていた。
 納得である。

 私は、もっと有益な道徳の授業をたくさん行ったけれど、それはまたの機会
にご紹介したいと思う。
 
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