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        》》》 小学校教育が危ない! 《《《

      No.17  2006/7/26  著者:福嶋隆史

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         No.17 授業でパソコン、こう使え!

         〜私の活用事例“TOP-10”(最終回)〜

             No.15 No.16

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<目次>
◆ まえがき
◆ 本論 〜私の活用事例“TOP-10”(最終回)〜
◆ あとがき
◆ 著者プロフィール
◆ 注
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◆ まえがき

 前号に引き続き、パソコンおよび「視聴覚・情報関連機器」を授業でどう使
うかについての事例をご紹介する。(この内容は、今回で終わり)
(15号・16号の続きである。まだお読みになっていない方は、バックナン
 バー等でお読みいただきたい)

 私の実践は、特に書いていない限り、すべて普通教室での実践である。
 パソコンルームで行ったものは、逆に少ない。
 普通教室で、普通の授業で活用することが、大事なのだ。

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◆ 本論

◇◇◇◇◇◆ 第5位 ブラインドタッチを身につけさせる! ◆◇◇◇◇◇
(パソコンルームでの実践)

 現場教師の勘違いは、いくつかの段階に分かれる。

勘違いレベル4:「小学校で、パソコンを使った授業なんてやらなくていい」
勘違いレベル3:「パソコンルームでの授業なんて年に3〜4回で十分」
勘違いレベル2:「パソコンに親しむ機会をできるだけ与えたいが、
         キーボードまでは使えなくてもいい」
勘違いレベル1:「キーボードは、指1本でちょこちょこ押せればいい」

 私はこう考える。

「小学校における基礎学力とは、読み・書き・算に、英会話・パソコン操作技
 能を加えた5つの力である」

「小学校卒業までには、パソコン操作技能として、ローマ字入力によるキーボ
 ード操作をある程度習得する必要がある」

「求められるキーボード操作能力とは、(1)両手の10本の指を使った操作
 (2)次に打つキーを探すのに1秒以上かからない程度の速さでの操作を行
 える能力である」

 そのためには、ローマ字そのものの習熟が、まず必要になる。
 ローマ字は学習指導要領では4年生で学習することになっているが、それ以
前に教えてもまったく構わないと私は思う。(というより、子どもたちの半数
は(1〜3年生であっても)ローマ字を始めから結構知っている。)

 「1秒以上かからない」というのは最低ラインだ。
 そのためには、ひとつのポイントがある。
 それは、母音を先に覚えてしまうことだ。
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「A I U E O」の5つのキーを、先に覚えさせるのだ。
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 なぜだかお分かりだろうか?
 ローマ字入力の場合、入力するキーの半分はこの5つのキーだからである。

 わたしのなまえはゆうじです
 WATASINONAMAEHAYUUJIDESU
 押すべきキーは24個、母音は13個。

 母音だけだったら、位置を覚えるどころか、低中学年でもすぐにブラインド
タッチ(見ないで打つ方法)を身につけられる。

 その方法をご紹介する。

 まず、指をホームポジションに置く。
 つまり、FとJのキーについているマークに左右の人差し指を置く。
 あとの指も、自然な位置に置く。
「そのまま、(画面を見たままで)左手の小指を押してごらん」
 と指示する。すると、「あ」が出る。
「右手の中指で、1つ上のキーを押してごらん」→「い」
「右手の人差し指で、1つ上のキーを押してごらん」→「う」
「左手の中指で、1つ上のキーを押してごらん」→「え」
「右手の薬指で、1つ上のキーを押してごらん」→「お」

 たったこれだけ。(ぜひ、ご自分でも試していただきたい)
(これなら、極端な話、ローマ字やアルファベットを知らなくても打てる)

 これを、いろいろな言葉を打ちながら遊び、速さと正確さを様々な方法で競
わせ、自然に覚えるように仕向ける。
「あいあい いえいえ ええい おいおい うえ あおう あおいいえ」等。
 ただし、出来る限り下を見ず、画面だけを見るようにさせる。
 キーが見えないように、両手の上にハンカチなどを乗せてしまうといい。

 もちろん、1回や2回の練習ではうまくならない。
 一輪車や自転車の練習と一緒だ。
 少なくとも週に1回は、このような機会を与えたい。
 昼休みなどにパソコンルームを開放している学校も多い。
 できるはずである。

 とはいえ、やはり、全体的に授業時間数が少ないという嘆き声が聞こえてく
る。でも、だったら、総合学習の「お遊び授業」をやめて、パソコンルームに
足を運ぶ時間をもっと増やすべきではないのか。

 私も、すべての学校でこの実践を行い得たわけではない。
 多くの学校で、時間的制約、場所的制約、パソコン台数等の備品の制約があ
り、なかなか思うようにはできなかった。

 しかし、これからの小学校教育でこれらの操作技能が基礎学力として不可欠
になるのは、火を見るより明らかだ。


 ◇◇◇◇◇◆ 第4位 写真資料を読み取る授業(社会科) ◆◇◇◇◇◇

 社会科で、こういう授業をすることがあるだろう。
「この写真を見て、分かったこと、気づいたこと、思ったことをできるだけた
 くさん書きなさい」
 私も、よく行った。
 しかし「この写真」も、いくつかのレベルに分かれる。

レベル4 →A4サイズに印刷した不鮮明な写真を黒板に小ちゃく貼リ出す
レベル3 →A3サイズに拡大印刷したものを貼る…でもまだ見えにくい
レベル2 →実物拡大機等を通してテレビ画面に映し出す
レベル1 →パソコンのデータに取り込んで、プロジェクターで映写する

 当然、最後が一番よい。
 最もよいのは、デジカメで撮影した写真データを、プロジェクターでそのま
まスクリーンに映写することだ。

 私は、様々な場面でこれを行った。
 水田や畑での「農家の人たちの工夫」を読み取る授業では、特徴的な写真を
あらかじめ撮影しておき、授業の最初にいきなり提示した。
「さあ、これを見てごらん」と。

 また、清掃工場や博物館等の見学の前には、教師が下見のときに撮影した写
真(あるいはビデオ)を提示した。
 「これは何だろう?」「どのような役割をもつ物なんだろう?」などと疑問
を抱かせておき、実際の見学の場で謎を解く“楽しみ”を持てるようにした。

 写真1枚をプロジェクターで拡大表示するだけで、子どもたちの意欲は高ま
り、思考はフル回転する。
 画像が大きいから、細かなところまで目が向くようになる。
 A4サイズの紙やテレビ画面などでは、そうはいかない。
 あくまでも、フル・スクリーンサイズだ。


  ◇◇◇◇◇◆ 第3位 パワーポイントで授業を創る ◆◇◇◇◇◇

 私自身がパワーポイントで次のようなファイルを作成し、授業で活用した。
 文字や画像のアニメーション効果をフル活用することで、楽しい演出がで
き、子どもたちの意欲や集中力も高まった。

******* タバコに手を出さない子を育てる授業 *******
 真っ黒い肺の写真や、表・グラフを様々に加工しておき、一部を隠したり、
順番に表示したりして、わかりやすい授業を組み立てた。
 よくテレビで、フリップにシールを貼っておき順々にはがしていくプレゼン
テーションがあるだろう。あんな程度のことは、パワーポイントですぐにでき
てしまう。
 また、クイズなども作って入れておくとよい。

******* 地球環境問題を扱った授業 *****************
 区レベルの公開研究授業で活用。
 環境サイクル図を用いた、「考える」授業。
 インターネットのサイトも随時表示(オフラインで表示)した。

******* 宿泊体験の学習発表会 *********************
 宿泊体験や修学旅行のまとめといえば、お決まりなのは「模造紙」だ。
 しかし、前にも書いたが、模造紙発表なんてなんのメリットもない。
 子どもはたいてい、小さな小さな文字を書く。
 あるいは、バランスの悪い大きな文字。
 しかも、几帳面な子は鉛筆で下書きしてからマジックでなぞる。
 そんなことをしているうちに、ただでさえ少ない授業時間はどんどん過ぎて
いく。
 また、1枚の模造紙に半身を乗せて書くから、場所をとってしまい、1回で
書ける子は限られてくる。遊ぶ子が出てくる。(模造紙だと、グループ作業に
するしかないから、こうなる)

 そんなことしてないで、最初から「個人作業」にすればいいのだ。
 私は、宿泊体験の記録を画用紙に個々人で書かせ、デジカメにそのまま取り
込んだ。そして、発表会ではそれをパワーポイントに入れておき、順番にスク
リーンに映写。
 当然、どんなに小さな文字でも読める。イラストもきれいに映せる。
 しかも、発表はテンポよく進む。
 発表に関係ある「思い出の写真」などをデータに差し挟んでおけば、発表会
はあたたかい“笑い”にあふれた、とても楽しいものになる。

 いい加減、模造紙などというものを発表に使わせるのは、やめることだ。
 方法が古すぎる。
 紙の無駄、マジックのインクの無駄、そして時間の無駄だ。


  ◇◇◇◇◇◆ 第2位 名詩・名文 暗唱サイト活用 ◆◇◇◇◇◇

 これはもう、なにも言わずにインターネットランドを調べてほしい。
「みおつくし暗唱詩文集」という、秀逸のサイトがある。
 ただでさえ多忙な教師たちが、休日返上で、かつボランティアで作ったサイ
トだ。しかし、サイト作成のプロ顔負けの高品質サイトである。
 これを知らない教師は、「暗唱」を語るなかれ。

「インターネットランド」を検索し左下の「リッチコンテンツ集」を開くと、
だいたい真ん中あたりにリンクされている。今見たら、すでに9万アクセスを
大幅に超えていた。

 日本中の「進んだ教師」は、このサイトを活用している。

 私は、これを活用し、次のような名詩・名文を、子どもたちに暗唱させた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 方丈記(冒頭) 雨にもマケズ(半分) 私と小鳥とすずと(全文)
 我輩は猫である(冒頭) …… などなど。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「させた」なんて書くと、無理やりやらせたように聞こえるが、とんでもな
い。
 子どもたちは、どの子もワクワクした表情。
 楽しくて、ど・う・し・て・も笑顔になってしまう、そのときの表情。
 適度な緊張感やスリルとともに、覚えきったときに味わえる達成感。

 このサイトを使っているときに、「もっと大きな声で」なんて言ったことは
一度もない。むしろ、「もうちょっと静かな声で」となだめた?くらいだ。
 子どもたちが、廊下、階段、外まで響くような声で音読したので、隣のクラ
スの教師には、「こっちは授業にならなかった」と苦笑され、校庭で体育をし
ていた教師には「さっきの授業、なにやってたの? すごかったね」と言われ
た。

 そのくらい、子どもたちが熱中するサイトだ。
(子どもたちはそもそも、覚えるということが大好きなのだ)


◇◇◇◆ 第1位 子ども自身が創るパワーポイント・プレゼン ◆◇◇◇

 4年生の子どもたちが、自分たちでパワーポイントを活用し、自分たちの考
えた学習クイズを作成し、自分たちで発表した。
 地域からも多数の来場者があった秋の学習発表会(文化祭的行事)の場で、
これを発表したのだが、そこではこんな感想(アンケート)が寄せられた。

「教師の手がかかりすぎている」

 え? なにそれ??
 と、思った次の瞬間、意味がわかった。
 その人は、「ファイルを作ったのは教師」と決め付けていたんだな、と。
 そのくらい、出来がよかったのだ。
 子どもが作ったとは思えないほどの質だった。

 しかし断言するが、すべて子どもが作った。
(もちろん、ソフトの操作を習得するまでは指導・助言を加えたが)
 漢字クイズ、言葉クイズ、計算クイズ、図形のクイズなど、面白いものがた
くさんできあがった。

 会場にはちゃんと、「すべて子どもが作りました」と書いていたのだが、そ
の人には信じてもらえなかったらしい。
 もちろん、「今はこのような教育を行っているのですね、すばらしい」とい
う評価もたくさんいただいたけれど。

 この発表のための授業には、だいたい14時間くらい使った覚えがある。
 多くは、パソコンルームで行った。
 この授業の主眼は操作技能を楽しんで身につけることにあったから、クイズ
の内容はかなり自主性に任せた。

 第5位の内容にも関連するので念のために書いておくが、すべての子が同等
の操作技能を身につけられたわけではない。
 漢字の習得と一緒で、どうしても習得状況には差が出る。
 そういう子は、この発表会の準備段階ではクイズ作りを中心にがんばった。
もちろん、パソコンの前に座ってデータを入力している、同じグループの友だ
ちにいろいろ意見しながら、一緒に作っていたけれど。

 本来なら、全員にじっくりやらせてあげたかったが、パソコン台数が2人で
1台などという状況では、どうしても制約が出てしまうのはいたしかたない。

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◆ あとがき

 3回にわたり、パソコンを始めとする情報関連機器利用の現状と、私の活用
事例をご紹介してきた。
 当然、私が書いたほかにも、様々な活用方法があるだろう。

 ひとつだけ言えるのは、「パソコンなんて」などという時代に逆行したセリ
フはもう、どこでも通用しないということだ。

 何度でも書く。
 そんなことを言っている教師は、教師失格だ。

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