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        》》》 小学校教育が危ない! 《《《

        No.9  2006/5/31  著者:福嶋隆史

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    No.9 学校安全 〜教師は警備員の視点を持て!〜

     [2]その一瞬に、子どもの命が奪われるかもしれない

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<目次>
◆ まえがき
◆ 本論
(1)教師が教室を離れるときが危ない! 〜 「スキだらけ」の実態 〜
(2)では、どうやって事件・事故を予防するのか
(3)トランシーバーをもっと活用すべき!
◆ あとがき
◇ わかる!“業界用語”解説……知りたい「用語」募集中!
◆ 著者プロフィール
◆ 注
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◆ まえがき

 教師が1人。子どもが30人。
 1人で30人の命を100%守ることは、基本的に無理だ。
 1人1人に専属のボディガードでもつけない限り、無理だ。

 しかし、それを言い訳にして、努力を怠るわけにはいかない。

「教師は子どもの命を預かっている」

 学校での事件・事故を未然に防ぐためには、この意識を持ち続けることが肝
心だ。

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◆ 本論

(1)教師が教室を離れるときが危ない! 〜 「スキだらけ」の実態 〜

【ちょっと職員室に】----------------------------------------------
「あ、ごめん。みんなに今日配るプリント、職員室に置いてきちゃった。今、
 取りに行くから待っててね」
 そう言って、教師が職員室に行く。
 よくある場面。
 これは、ある程度は致し方ないことだ。
 忘れ物じゃなくても、放送で「○○先生お電話です」なんて呼ばれたら、教
室を離れるしかないのだし。

 しかし、その時偶然、不審者が教室に侵入したら?
 忘れ物を取りに行くために、あるいは電話に出るために教師が教室を離れた
隙に、子どもが殺されたとしたら……
 後悔しきれないだろう。

 念のために書くが、教師不在の間に起こりうるのは「不審者侵入」のみでは
ない。
「子ども同士のトラブル、喧嘩による怪我、あるいは子ども同士の傷害や殺
人」などもすべて考えられる。
 殺人なんてあるのか、と思われるかもしれないが、佐世保の小6同士の事件
はまさにこれだった。給食が始まるときに起きたのだ。

【給食時間の最初】----------------------------------------------
 4時間目が終わり、教師が給食当番を連れて給食室に行っている間。
 危険である。
 教室には、給食当番以外の子ども(クラスの半数以上)が、教師なしで待た
されることになる。
 少なくとも5分は待たされる。
 かつ、どのクラスも一斉に、同じような時間帯に教師が教室からいなくなる
から、この時間は、校舎内のどのフロアも非常に手薄なのである。
 何かあったとき、対応し切れまい。

【休み時間】----------------------------------------------------
 休み時間、教師はどこに居るべきなのか。
 私は、基本的に教室に居るようにしていた。
 校庭で遊んでいる子ももちろんいるが、だからといって校庭に出っ放しはま
ずい。
 もし、その間に教室に不審者が来たらどうするのか。
 校庭は、他の教師が守ることもできる。
 システムがしっかりした学校では、「生活当番」の教師1〜2人が、休み時
間も持ち回りで校庭や体育館を巡回するルールができている。
 しかし、当番の教師が「各教室を」巡回する、などという学校はない。
 つまり、休み時間の教室では、基本的にそのクラスの担任に全責任が発生す
るのだ(もちろん校長が最終責任者だが、それは当然として)。
 だから、教師は休み時間、教室にいなければならないと私は思う。
(子どもが全員外に出ているなら話は別だが)

 とはいえ、教室にずっといるわけにもいかない。
 教師とて、トイレにも行くし、休み時間に済ませなければならない雑多な仕
事が山ほどある。
 中休みの20分というのは、分刻みで仕事があったりするものなのだ。
 学年の教師の間でのちょっとした打ち合わせとか、来客とか、教材業者の対
応とか……もちろん、次の授業の準備もある……挙げたら切りがない。
 つまり、完全に休み時間をカバーすることはできない。

【特別教室と教室との間で移動するとき】------------------------------
 音楽室、図工室、家庭科室、図書室、あるいは体育館(校庭も)……
 そういう「特別教室」に移動するとき、子どもだけで移動させる教師が多
い。
 しかし、しつこいようだが、その移動の間に、事件・事故が起きたらどうす
るのか。
 私は、できる限り、引率することにしていた。
 ちゃんと整列させて、教師が時々うしろを振り返りつつ、声をかけつつ、
時々子どもたちを並べなおしつつ、移動する。
 行きも、帰りも。
 これが、集団統率の基本だと思う。

【校内の研究授業の参観のため、教室を長時間離れる】-----------------
 これが一番危険!!!
 このメルマガの第2号あたりでも触れたが、研究授業というのは、あるクラ
スの授業を見るために、校内のほぼ全教師が、自分のクラスを自習にして、そ
の授業の行われる教室を訪問するものである。
 要するに、1つの教室にずらっと先生たちが集まる。
 あとの教室は、子どもだけ。教師不在。
 危険すぎる。
 多くの教師は、10分おきくらいに自分のクラスを見に戻るものだが、それ
でも危険だ。

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(2) では、どうやって事件・事故を予防するのか

■まずなんといっても、子どもへの指示だ。
 たとえば教室を離れるとき、教師がどんな指示を出すかが肝心だ。
 さて、どれが最も安全を確保できる指示だろうか。
 1つ選んでいただきたい。

A……「ちょっと待っててね」
B……「職員室に行って来るから、ちょっと待っててね」
C……「職員室に行って来るから、本を読んで待っていなさい」
D……「職員室に行って来るから、本を読んで待っていなさい。2〜3分で戻
    ります」
E……「職員室に行って来るから、本を読んで待っていなさい。2〜3分で戻
    ります。何かあったらすぐインターフォンで職員室に連絡しなさい」

 言わずもがな、Eがベスト。
 Aでは、何かあったとき、先生がどこにいるのかも分からないから、連絡も
取れない。
 Bでは、子どもは待っている間に何をすればいいか分からないから、遊びだ
す子どもが出る。ほぼ90%、子ども同士のトラブルが1〜2分以内に起こる
だろう。事故のもとだ。
 Cでは、遊びだす子どもは少ない。しかしまだ甘い。
 Dでは、2〜3分で教師が戻ることを意識するから、遊びだす子どもはさら
に減る。しかし、不審者侵入があっても、即座には行動できない。たとえ訓練
をしていてもだ。

 私は、ほとんどの場合、ほんのちょっと教室を離れるだけでも、Eのように
しつこくしつこく言い聞かせてきた。それを聞き続けている子どもたちは、
「いつでも事件・事故は起こる」という危機意識を持てるようになるのだ。

 しかし本当は、Eもまだ甘い。
 インターフォンがない学校もある。
 いや、あったとしても、職員室に誰もいなかったら意味がない。

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■そこで登場するのが、トランシーバーだ。
 備品として5〜6台購入している学校もあるはずだが、ほとんどの学校で
は、きっとホコリをかぶって電池切れ状態だろう。(いや、……どこの学校で
も備品として置いておくように、何か法律で定められていたような気もする。
調べたがちょっと見つからないのでまた今度)

 私は、自前のトランシーバーを2台購入し、学校生活全般で活用した。
 校舎内外を問わず。

 変わった教師だ、完璧主義過ぎるのでは、とお思いだろうか?
 まあ、そう思うのは勝手だ。
 しかし、次々と子どもの命が奪われていく事件を見るたびに、そうせずには
いられなくなったのだ。


 たいてい、このように使った。

 1台は教室に置いておく。
 1台は携帯する。
 教室を2〜3分離れるときも、給食当番で離れるときも、休み時間も。
 もちろん、研究授業のときも。

 子どもには、予めトランシーバーの使い方を教えておく。
(全員に教えるのがベストだが、そこまでする時間もないので、私は数人の気
が利く子に教えた)
 そして、何かあったらすぐに連絡するように、と伝えておく。

 また、教師からも、ときどき、子どもに呼びかける。
 なにごともないかを確認する。

 この使い方が基本だ。

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(3)トランシーバーをもっと活用すべき!

 しかし、もっと便利で有意義だと思うのは、教師と教師の間でトランシー
バーを活用することだ。
 キャンプ、宿泊体験学習、遠足などで使っている学校は、まあ多いだろう。
 だが、日常から使っている学校は、果たしてどれだけあるだろうか。

 全教職員が、1台ずつ携帯していればいいのに、と思う。
 こんなに便利なものはない。
 1人がしゃべれば、全員に伝わる。
 携帯電話では、こうはいかない。(しかも金がかかるし、即時性に欠ける)
(プッシュトークなんてのもあるが、全員がその機種じゃないだろう)

 教職員の連携をこんなにスムースにする道具があるだろうか。

 校長から全職員へ。
 学年主任から他の学年教師へ。
 ○○先生から○○先生へ。
 ○○先生から校長へ。

 不審者が侵入したとき、一瞬で協力体制を作ることができる。
 避難訓練や不審者対応訓練で行うように、いちいち「まず防犯ブザー」「次
にインターフォンで確認」「インターフォンが使えない場合は走って伝える」
「職員室にいた教師が応援に駆けつける」なんていうまどろっこしい手順を踏
まずにすむ。
 ことは一刻を争うのだ。

 地震・火事などの災害時にも、当然役に立つ。
 それなのに、なぜ使われていないのか。

 考えられる理由はいくつかある。

(あ)……傍受されやすい。小型のトランシーバーは、タクシー無線と混線す
     ることもある。
(い)……授業中に、常時トランシーバーの音声に気を配っていられない。
(う)……全職員分を購入する費用がない。

 どれももっともな理由だが、(う)なんてのは、他を削ればいいだけのこと
だ。子どもの命を守るためなら、不要な備品代を削ればいい。
 (い)は……難しいところだ。私は警備員時代、常にイヤホンを片耳にはめ
ていたが、さすがにそれで授業をできるかというと、自信はない。だが、それ
ならそれで、「ベル機能(呼び出し機能)」だけを使ったっていい。教室にし
か設置してないインターフォンよりは、ずっと便利だ。
 廊下でも、どこでも送受信できる。トイレでも、だ。(トイレにインターフ
ォンがある学校はおそらくないだろう)
 (あ)は、考えすぎだ。傍受されてはいけないような内容は、話さなければ
いい。また、緊急時には、傍受されたってやむをえない。それに、万一傍受さ
れても、たいした不都合はないはずだ。むしろ、役立つかも。

 とはいえ、現実的にはなかなか難しい。
 私はこの案を、職員会議で提案したことがある。
 が結局、(あ)〜(う)を自分で話したところ、自滅した(却下された)。
(だって、提案する以上、メリットもデメリットも話さないとフェアじゃない
 から)

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◆ あとがき

 危機回避についての話題は、ひとまず今回までとする。
 しかし、まだまだ書くべきことはある。
 たとえば、校外学習に出かけたときの危機回避・安全確保。
 これだけで、メルマガ数回分になってしまいそうだ。
 
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◇ わかる!“業界用語”解説

 今回はお休みします。

 ところで、このコーナー、読者の方から内容を募集したいと思います。
 この言葉がよくわからない、こんなことを知りたい。
 ぜひ、メールをください。(アドレスは最下部)

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