HPトップ はこちらです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

        》》》 小学校教育が危ない! 《《《

        No.6  2006/5/10  著者:福嶋隆史

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
----------------------------------------------------------------------

       No.6 時間を守らない教師は危ない!

----------------------------------------------------------------------

<目次>
◆ まえがき
◆ 本論
(1)「時間を守る人か否か?」それだけ見れば教師の質が分かる
(2)時間を守らない教師の実態
◆ あとがき
◇ わかる!”業界用語”解説……今回はお休みです。
◆ 著者プロフィール
◆ 注
______________________________________________________________________

◆ まえがき

 このメルマガ、回を重ねるごとに長文になり、内容も重くなってきたので、
ちょっと読むのが大変だったのでは…と思う。
 特に最近の2回は、内容が私の専門分野(国語)だったこともあり、熱く
なってしまった。
 今回は、少し「短く」そして「軽く」いきたい。(少し)
 ということで、まえがきはここで終わり。

----------------------------------------------------------------------
◆ 本論
(1)「時間を守る人か否か?」それだけ見れば教師の質が分かる

 耳が痛い読者の方もいらっしゃるだろう。
 これは、別に教師に限ったことではないからだ。

 しかし、教師の場合は特に罪が重い。
 子どもに対しては「時間を守れ」と指導しておいて、自分はあれこれの理由
をつけて時間の約束を破るわけだから。
 卑怯者だ。
 しかも、泥棒だ。
 ミヒャエルエンデの『モモ』じゃないが、時間泥棒だ。
 時間を守らない教師は、子どもの時間を盗んでいるのだ。

 子どもの学習時間を。
 子どもの休み時間を。
 子どもの給食時間を。
 子どもの放課後の時間を。

 もちろん、年に数回ぐらいなら、仕方ないときもあるだろう。
 人間相手の仕事だ。
 ハプニングは当然起きる。
 私だって、100%守れたわけじゃない。(98%は守った)

 しかし、守れない教師は、ほとんど毎日守れない。毎日だ。

----------------------------------------------------------------------

(2)時間を守らない教師の実態

■授業の開始時刻を守らない■

 チャイムが鳴ったら席に着くんですよ、と言っておいて、教師はチャイムが
鳴っても教室にやって来ない。
 または、教室に居ても授業を始めようとしない。
 それでもまじめな子は、チャイムが鳴る1〜2分前から着席し、教科書と
ノートを開いて待っている。
 時間にルーズな教師は、そういう子をほめることもない。
 いや、そういう子の存在にすら気づいていない。
 騒がしいヤンチャな子ばかりをかまっていて、まじめな子を見ない。
 見えてない。

 私は、授業開始のときに騒いでいる子がいても、無視して授業を始める。
 チャイムが鳴ったその瞬間から始める。
「こ〜れ〜か〜ら、○時間目の、おべんきょうを、は〜じ〜め〜ま〜す」
 なんていう、無駄な挨拶は一切やらせない。

 国語なら、チャイムと同時に漢字の筆順を唱え始める。
 まじめな子どもは、ちゃんとついてくる。
 指で書き、なぞって書き、写して書く。そういう作業。
 あるいは、漢字フラッシュカードや暗唱を始める。
 算数なら「百玉そろばん」を使って数唱を始める。
 理科なら、気温当てクイズを始める。

 これらを、チャイムと同時に始める。ほんとうに同時だ。
 それを見て、ヤンチャな子も「あ、やらなくちゃな」と思い、参加するよう
になる。
 日直に挨拶なんかさせなくても、子どもたちは自然と勉強の態勢に入れるよ
うになる。

 もちろん、始業のチャイム直前に怪我人が出たとか、子ども同士の喧嘩が起
きたとか、そういう場合もある。
 そういうときは、まず全員に指示を出す。
「きのう習った漢字を、5回ずつノートに書いていなさい」
などと。
 そのあとで、怪我人や喧嘩に個別対応する。

 教師の原則は、「まず全員、次に個人」である。
 それが、学級という組織のリーダーとしての鉄則である。

 しかし、時間にルーズな教師は、逆をする。
 まず個人に対応し、その間は全員を放っておく。
 個人への対応が終わって、ようやく全員に言葉をかける。
 一見、「個人重視」の美しい行為に見えるがそうじゃない。
 他の大多数の「個人」は、「軽視」されているのだから。
「1人は皆のために、皆は1人のために(All for One,One for All)」を引
き合いに出す教師もいるが、お門違いだ。

 個人対応を優先する教師の授業は、いつも始まりが遅れる。
 たいていは、ヤンチャな子の対応だけで時間が遅れる。
 そのほとんどは、長い長いお説教。
 そういう教師は、ヤンチャな子からも嫌われ、まじめな子からも信頼を失
う。

-----------------------------------------------------
■授業の終了時刻を守らない■

 始まりのチャイムは子どもが守る。
 終わりのチャイムは教師が守る。

 私は、4月始めにこれをルールとして子どもたちに伝える。
 当然のルールだ。

 しかし、さきほど書いた「開始時刻を守らない教師」よりも圧倒的に多いの
が、「終了時刻を守らない教師」である。
 どなたでも、ご記憶にあるだろう。
 チャイムが鳴っているのに、無視して熱弁を振るう教師。
 中学にも、高校にも、大学にもいたはずだ。

「もう終わりだよ、先生。チャイム鳴ってるよ?」
「待ちなさい、今いいところなんだからっ!」
 終わりだよ先生、と言われて、怒鳴る教師もいる。
 怒鳴りたいのは子どもの方だろう。

 高学年にもなると、こういうことをはっきり言う子は減る。
 しかし、内心は一緒だ。
 チャイムと同時に筆箱をガタガタっと片付けてみたり。
 教科書・ノートを閉じて、トントンと整頓してみたり。
 わざとらしくおしゃべりを始めてみたり。

 要するに、チャイムが鳴ったその瞬間から、子どもたちの集中力は華厳の滝
のように落ちる。
 ナイアガラでもいい。ほとんど全員一斉に落ちるから。
 そのことを、ルーズな教師は分かっていないのだ。

 チャイムが鳴ったら、どんなに「いいところ」でも、やめるのが潔い教師
だ。
 私は、そうしてきた。

 ただし例外もある。
 子どもたちが、
「え〜? 先生、こんなところでやめないでよ、もうちょっと続けて!」
と、熱心に「やる気」を示す場合である。
 教師が優れた授業をやっていると、こういうことが多くなる。
 こういう子が教室の8割を超えるケースでは、私も1〜2分授業を延長した
ことがある。
 年に数回だが。
 しかし本来なら、それとてルール違反だ。
 鋭い子どもは、あとでそこを指摘しにくる。
 教師は、謝るしかない。

 授業をチャイム後に延長する教師は、無駄な熱弁と引き換えに、子どもの休
み時間や給食時間を奪うのである。

 最近では「ノーチャイム制」の学校も増えている。
 これがまたクセモノだ。
 「子どもの自主性を促す」なんて理由で、チャイムがない学校が多いのだ。
 私は断固反対だ。
 職員会議で反対したこともあったが、却下された。
 チャイムがあろうがなかろうが、時間を守る子は守るし、守らない子は結局
守らないのだ。
 だったら、ルーズな教師のために、チャイムをつけた方がいい。
 ノーチャイム制は、「教師が授業を延長してもバレにくい」という、教師の
都合に合わせたやり方だ。
 ノーチャイム制によって、時間を守らない教師が増え、その結果、時間を守
らない子どもも、増えるのである。

-----------------------------------------------------
■委員会活動、クラブ活動■

 休み時間に委員会活動を行うことも多い。
 クラブ活動の準備等が行われることもある。
 私はそもそもこのこと(休み時間に活動を割り当てること)自体に反対なの
だが、まあそれは置くとしよう。

「今日の中休み、○○委員会の人は○○室に集まってください」
 そう呼びかけておいて、教師は来ない。
 1分、2分……5分経っても来ない。
 ○○室では、子どもたちがブーブー言い始める。
「ちぇっ。なんだよ。急いで来たのに」
「あ〜あ、今日は外で遊びたかったのにな」
 そこへ教師がのこのこ現れる。
「よ〜し、始めるぞ〜。なんだ、そのダラダラした態度は!」
 …ひどい話だ。

 ここで謝る教師は救われている。
「ああ、ごめんごめん。遅れた」

 でもそれだけじゃ不十分だ。
 理由をつけろ、と言いたい。
「体育の授業で怪我人が出てしまって、遅れたんだ。申し訳ない」

 でも、それでもまだ、不十分だ。
 私なら、こうする。

…体育の時間に怪我人が出た。
 授業は終わったが、このあと保健室に寄らなければならない。
 まずい、このままだと、中休みの委員会の指導に間に合わない。…
 私ならその時点で、近くの教師、あるいは誰か子どもに頼み、○○室まで伝
えに言ってもらう。
「怪我人が出たから、5分遅れるそうです」と。
 あるいは自分で○○室に行って伝え、いったん保健室に寄ってからまた○○
室へ行く。
 そうすれば、委員会の子どもたちにとって、5分の休み時間が戻ってくるの
だ。

 そこまでするのが、「時間を守る」ということだ。
 そこまでするのが、「教師」というものだ。
 そして、そういうところから、「教師への信頼」が子どもの心の中に生まれ
ていく。

-----------------------------------------------------
■全校朝会■

 全校朝会は普通、朝8:30から8:40までだ。
 そのためには、子どもたちが8:27までには全員校庭に出て、8:29に
は整列し終えていなければならない。
 しかしたいていの学校では、ダラダラ・バラバラと子どもが外へ出て、8:
30を過ぎても並び終えていない。
 それは、誰のせいか?
 子どものせいか?
 否!
 教師のせいだ。
 教師は前日に「あすは全校朝会ですよ」と伝えたか?
 教師はその朝、教室へ行き、外へ出るように促したか?
 教師はその朝、朝会実施を伝える校内放送を入れたか?
(集まりの悪い学校では、時間差をつけて2回は放送を入れるべきだ)
 時間にルーズな教師は、こういう動きができない。

 私の経験では、こういうシステムがしっかりできていた学校は、1つだけ
だった。
 その学校では、8:25にはほとんど全児童がきれいに整列していた。
 大規模校にも関わらず、だ。
 ちょっと早すぎる(前倒ししすぎ)という気もしたが、遅くなるよりずっと
いい。
 その学校では、いったい何が(誰が)優れていたのか?
 ひとつ考えてみていただきたい。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ヒント。それは、リーダーである。
 子どものリーダーである教師、その教師たちのリーダーたる教師。
 そう、それは、校長だ。

 校長が優れていたから、その学校は整然としていたのだ。
 校長が優れている学校は、教師も優れている。
 それが私の実感だ。
 その学校には、教務主任のような大変な仕事を軽くこなせそうな教師が、5
人はいた。

 話の長い校長は、基本的にダメ校長だ。
 全校朝会で5分も10分も話をし、1時間目の授業を遅らせる校長は山ほど
いる。 
(そういう校長は、子ども相手だけでなく、会議や打ち合わせの場での教師へ
の話も当然長い)

 理想は3分だ。長くて3分。
 校長ともあろうものなら、3分あれば、子どもへのメッセージを伝えられな
ければならない。
 校長の「話術」を全校児童や全教職員に示す最大の機会だ。
 それなのに、なぜ自ら全校児童の前で、「私は話が長い校長ですよ」とわざ
わざアピールするのか。
 子どもたちに尊敬される校長になりたくないのか。
 教師たちに尊敬される校長になりたくないのか。

 まあ、夜回り先生(水谷修氏)ほど巧みに話せ、とは言わないが。
 せめて、若造(福嶋)よりはうまく話せよ…、と言いたい。
(私は全校児童の前で話すのが好きだし、そういうのが得意だ)

 3分を過ぎると、子どもたちは足で砂をいじり始める。
 あとはもう、半数の子が聞いていない。
 聞いているように見える子も、実は上の空だったりする。

 校長がダメな学校では、教師もダメになる。
 クラスと同じだ。
 教師がダメなクラスでは、子どももダメになる。
 子どもの能力は、教師の能力に限定される。
 メンバーの能力は、リーダーの能力に限定される。

 組織の常だ。

-----------------------------------------------------
■朝の会■

 これも、一般的に長い。
 私は、朝の会なんて一度もやったことがない。
 挨拶と健康観察をし、今日の予定を伝えるだけで、すぐ1時間目だ。
(時には、多少余計な話もするが、すぐ終わる)

 それを、日直が司会をして「今日のニュース」とか「今日のスピーチ」とか
をやってるから、授業の始まりがどんどん遅れていく。
 ニュースもスピーチも結構だが、そんなのは国語の授業の中でちゃんと時間
を取って、計画的にやればいいのだ。

-----------------------------------------------------
■帰りの会と、下校時刻■

 これも、一般的に長い。
 朝の会よりも一層長い。
 「今日の反省」とかをやってるからだ。
 こういうことをすると、決まって、
「○○くんが、今日、○○くんとけんかをしていました。悪いと思います」
なとどいう話で10分、20分と暗いムードが続く。
 「話し合い」なんかをさせているクラスもよくある。
 そして、最後は教師の長いお説教。
 1日の終わりを、なぜわざわざ、こういう暗さでしめくくるのか??
 理解に苦しむ。

 だからといって、こういうのも問題だ。
 日直が言う。
「では、今日の善かったことを言ってください」
 何人かが発言する。
「はい! 今日、○○ちゃんが、鉛筆を貸してくれました」
「はい! 今日、休み時間に、○○くんが、ドッジボールのときボールをパス
 してくれました」
 で、教師がこんな風に言う。
「そうなの〜! はい、○○ちゃんと○○くんに、拍手〜!」 
 ぱらぱらと拍手が起こる。

 そんなことやってないで、さっさと子どもを帰してやれ!
 子どもにだって次の予定があるんだ。
 遊びたい、塾がある、習い事がある。いろいろあるんだ。
 大半の子は、帰りの会なんて「うざったいひととき」としか思っていない。
 嘘だと思うなら、匿名アンケートでもとってみろ、と言いたい。
 日本中の9割以上の子が、「うざったいひととき」に一票入れるだろう。

 それに、最近では安全上の配慮から、下校時刻厳守が当然だ。
 それなのに、こういうことをやっていて、学校全体で決められている下校時
刻を守らせない担任がたくさんいる。
 下校が遅れ、1人2人でパラパラと帰る子は、不審者に狙われやすい。
 下手すれば、子どもの命に関わるのだ。

-----------------------------------------------------
■職員の朝の打ち合わせ■

 打ち合わせの終了時刻を遅らせる最大の原因は、校長の話が長いことだ。

 いや、もちろん校長の気持ちも分かる。
 朝、全職員のリーダーとして、いろいろと訓話をしておきたい。
 きのうテレビを騒がせたニュースについて、コメントしておきたい。
 それはそれでいい。
 また、教育委員会から、校長経由で職員に対して大切な連絡があるときもあ
ろう。
 それもいい。
 しかし、その「長さ」をなんとかしてほしい。
 無駄に長い。
 長くならざるを得ないなら、放課後に職員を集めて話してくれ。
 緊急の要件でない限り。

 ……いや、福嶋個人は、話が長いこと自体には我慢できる。
 しかし問題は、その間「子どもたちがどうしているか」だ。

 始業の8:45を過ぎても教室の子どもたちをほったらかしにして、意味の
ない(緊急性のない)話を並べている校長もいる。
 もし、そのとき不審者が教室に侵入したら、あとでどう釈明するのか。

 私は、朝の打ち合わせが終わるや否や(つまり校長の話が終わるや否や)、
どの教師よりも先に教室へ向かった。子どもが待っているからだ。
(校長の長い話が終わったあとで、まだのん気にお茶を飲んでおしゃべりして
いる教師もいる。授業が始まっているのに!)

 これに関しては、さっきとはまた別の学校で、優れた校長がいた。
 その校長は、教師への話も短かったし、子どもの安全への配慮もしっかりし
ていた。
 お茶を飲んでいる教師を、ちゃんとチェックしていた。
 詳しくは、また別の回で「学校安全」について書くので、そこで述べたい。

-----------------------------------------------------
 最後におまけ。

■時間にルーズな教師が、たったひとつ守る「時刻」がある■

 さて、それは何だろうか?
 またクイズタイム。
 答えは、あとがきの中で。

----------------------------------------------------------------------

◆ あとがき

 自ら時間を守る教師のクラスの子は、自ら時間を守るようになる。
 自らルールを守る教師のクラスの子は、自らルールを守るようになる。
 率先垂範。
 これが教師のあるべき姿だ。

 で、さっきの答え。
 それは「退勤時刻」だ。
 (退勤時刻を守るのは、悪いことではないが、なにか象徴的だ)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━